アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2.圭一side.
-
僕は毎日、ここに来ていた。
海斗くんと被らないように、昼間のうちに。
今の昴くんの中で、海斗くんは他人かもしれないけれど、別れたわけじゃない。
二人はまだ、れっきとした、恋人で。
だから、二人きりの時間を、長くしてあげたいと、思う。
そうしているうちに昴くんが思い出すかもしれないし、思い出さなくても、海斗くんに好きだと言ってあげることができるかもしれない。
・・・いや、できるはずなんだ。
記憶は失くしても、心は失くしてないはずだから。
昴くんは忘れてしまっているけれど、まだ、海斗くんのことが好きなはずだから。
だから、二人はまだ想い合っているんだよ?
―『幸せになってください、どうか』。
ごめんね、海斗くん。
追い詰めたかったわけじゃない。
ただ、心から。「幸せになってほしい」と、願った。
でも、もしそれが海斗くんにとっての重荷になっていたのなら。
ごめん。ごめんね。
海斗くんは優しい子だから、壊れそうで、怖かったよ。
僕の友人に、そっくりで。
だから君もいつか壊れてしまうんじゃないかって。
昴くんに、同じ思いはしてほしくなかった。
友達と恋人じゃ、条件はまったく違うけれど。
それでもきっと、同じ思いを、すると思うから。
だって。
海斗くんが熱で倒れた時、昴くん、そうだったろう?
自分の無力さを思い知って、辛かったろう?
それと、同じなんだ。
支えてあげることができなくて。大切な人なのに、力になれなくて。
とても、悲しかったね。
それをわかっているから。
昴くん。君にはもう、あんな思いはしてほしくない。
できることなら、幸せに。
君にとっての幸せが、海斗くんといることなら。
家族や友人を置いて、離れてしまっていい。
遠い遠い場所で、二人で過ごせばいい。
それが君にとっての幸せなら、僕は喜んで見送るから。
僕らを、巻き込んでくれていい。
ただ、約束して。
もうあの時のように、独りで背負い込まないでほしい。
もう二度と君が、壊れてしまわないように。
どうか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 147