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そして。
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そして、あれから数ヶ月が経った。
「大丈夫?無理はしないんだよ」
「大丈夫ですよ」
僕は、今日からまた学校に通いだす。
事故で負った傷もすっかり治って、もう普通に、前みたいに歩ける。痛みももう無い。
「無理なようだったら帰ってくるんだよ」
大丈夫だと言い続ける僕を心配する父さん。
「大丈夫です。会いたい人もいるから」
そう言って、僕は笑った。父さんも同じように笑う。
あぁ、これが。
そうか、これが。
「行って来ます」
これが、本当の幸せか。
ピンポーン・・・
チャイムを押す。そして、中から微かに慌てたような声が聞こえれば、開いた扉の先にいるのは、僕の愛しい人。
「・・・・・おはよう、海斗」
まだ起きたばかりなのだろう表情に口角が上がる。
どうして、顔を見るだけで。こんなにも愛しさが込み上げて来るのだろう。
「おはよう、昴」
ふわりと。
まるで宙に浮くよう。
「今鞄持ってくる。待ってて」
「うん」
そう返事をすれば、家の中に戻る海斗。
少しの間だけなのに、寂しいと思うのはどうしてだろう。
涙が出そうだ。
ガチャ、
「昴、今日・・・って、え?」
「・・あ・・・海斗、」
「え、昴?どうした・・・・・?」
心配そうな海斗の声。
そして、気付いた。
「・・・ぁ・・・・・・・」
ボロボロと。
頬に伝うのは、涙。
どうして・・・・・・。
「昴・・・・・?」
・・・・違う。
どうして、なんて。
涙が溢れる理由は、もう。
わかってる。
決まってる。
「幸せだなぁって、思ったんだよ」
海斗。
僕が泣く理由は、これからはそれしか無いよ。
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