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藤間side.
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馬鹿だな、俺。
あんな声聞いちゃって、
もう、もうさ、
諦めるしか、ねぇじゃん。
「悲しいですか?」
公園を出てすぐの、空き地から。
知っている声がした。
「・・失恋、しちゃいましたね」
「・・・・・・遠藤、」
遠藤皐月。
同じ生徒会役員で、俺の、
幼馴染。
「陵くん、変わっちゃいましたね」
長い髪。
よく似合っているメガネ。
俺を変わったと言うこいつは、何も変わっていない。
「子供のころは皐月って呼んでくれてたのに」
「・・・・」
「そんなに好きですか?」
「・・・・誰が」
「会長・・・・いえ、早坂昴が」
「・・・名前、知ってたんだな」
「知ってますよ。あの人のことは、尊敬してますから」
遠藤は、敵視する奴の名前は絶対に覚えなかった。
普段弱気で大人しげなのは、演技だ。
本当のこいつは、狡賢くて、変に頑固で、プライドが高くて。
欲しいものは何をしてでも手に入れようとする。
昔、俺と遠藤はよく似ていると、誰かに言われた。忘れたけど。
「例えば?」
「誰に何を言われようと、欲しいものを手に入れようとするところ」
そうだ、あいつも。
俺らと同じらしい。
「佐伯くんだったんですね」
「・・・そうだな」
「・・・残念、ですね」
「・・・・・そうだな」
「・・・・・」
「・・・」
「・・・寂しいですか?」
「・・なんで」
「だって、
陵くんが会長を好きだと言っていたのは、
愛されたかったからでしょう?」
「・・・・・・ハッ、」
あぁ、やっぱ。
こいつはどうも、人の心臓をえぐる。
だから嫌いだ。
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