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海斗side.
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口の中に血の味が広がる。
唇を強く噛みすぎて血が出てきた。鼻を通る鉄の匂い。
血まみれの昴の姿が、脳裏に浮かんでは消える。
「ッ・・・ぅ゛、っ!」
「ハッ、痛そ」
腰を動かしながら菊地が言う。
実際ものすごく痛くて、正直、もう噛みたくも、触れたくも無かった。
冷たい空気がしみる。
ツ、と、血が顎を伝うのがわかった。
でも。
(だめ・・・・だッ・・・・!)
痛くてもなんでもいい。そんなこと知るか。
ただ、ただ、俺は。
そう、我慢すればいい。
俺が我慢すれば。
俺が、こいつに抱かれてれば。
それだけで、好きな人の未来が救われるなんて。
「ッ・・・・・・・、」
そんな幸せなことないだろ?
「っ・・・強情だなァ?」
「っ、!!」
不快感が全身を襲う。
荒い息を吐いて、菊地はナカに果てた。
「お疲れさん。明日もヨロシクな?」
満足気にニヤリと笑い、俺の鎖骨のあたりに顔を近づける。
チリ、と、痛みが脳に伝わった時にはもう遅かった。
「!や、やめろ!」
言いながら菊地の肩を押す。
菊地はそれに合わせ、馬鹿にしたように笑いながら、冷たい空気の中を去って行った。
ぽつり。
取り残された俺は、ただただ、”そこ”に触れて。
「ッ・・・・ぁ・・・・あ゛ぁ・・・・・ッ!」
声にならない声を上げながら、爪を立てた。
ガリ、ガリ、と。
指を動かすたびに、嫌な音が鳴る。
痛い。
痛くて、痛くて。どうにかなりそうだけど。
そんなのは気にしていられなかった。
「ぅ゛・・・・あ゛・・・ッ!」
取らなきゃ、って。
取らなくちゃいけないって。
他の奴につけられた所有印なんか。
他の奴のものになった俺なんか。
そんな汚いもの、いらない。
そんな汚いもの、
存在しなくていい。
暗闇の中。
舞う埃。
冷たい空気。
独特の匂い。
俺のナカから溢れ出る白濁。
頭をおかしくするような鉄の匂い。
うっとおしいほど流れる涙。
胸を締め付ける罪悪感と、
そんな資格ないくせに、図々しく昴を好きだと思う、頭と心。
どうすればいいのか、わからなくて。
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