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海斗side.
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だめなことなんて一つも無かった。
ただ、俺がそう思い込んでいただけ。
それだけで、あんなに、あんなに苦しんで。
昴。
俺はそのおかげで、昴を好きでいる勇気が持てたよ。
「手、繋ごう」
外。
いつもよりも人が多いそこ。
だけどなんだか耐え切れなくて、そう切り出した。
「・・・・・・・え?」
驚いて目を大きくする昴。
そりゃあ驚くよな。
前まで俺、人にバレるのやだとか言ってたくせに。
いきなりこんなこと言われたら、そりゃあ驚く。当たり前。
でも、
「手・・・繋ぎたい」
バレてもいい。
むしろ、
むしろみんなに、知って欲しい。
「この人が俺の恋人ですって、自慢したい」
だから、取らないでくださいって。
みんなに、言いたい。
少し気恥ずかしいけれど、そう言えば昴は優しく笑って。
「いいよ」
と言って、手を重ねてくれた。
「・・・・・・・・・」
「海斗、生きてる?」
「生きてるよ・・・歩けてんだから生きてるだろうがああ!!
「うんそうだね、落ち着いて」
やばい、これは、これは・・・・ッ!
(恥ずかしすぎる・・・・・!!!!)
ナニコレ、恥ずかしすぎて顔赤くもなんない。
世の中のカップルというものはいつもこんな思いをしながら手を繋いでいるのだろうか。というか、手を繋ぐというのはこんなにも恥ずかしいものだっただろうか。否、前に何度か繋いだ時もこんなに恥ずかしくなかった。
なんか、今は世界中の人に見られてる気がする・・・・!
「・・・海斗、大丈夫?」
「大丈夫デスケド。何言ッテルンデスカ」
「カタコトだよ・・・・」
後ろめたさは感じない。ただただ恥ずかしい。
あぁもう、ほんとに。
勘弁してくれ・・・。
「あれ、海斗?」
後ろからよく知った声。
今はできるだけ話しかけないで欲しくて、やけになって振り向くと。
「はいっ!?誰!」
「ぅおっ、びびったー、いきなり振り向くなよ」
「まっ、鎮!」
そこには一番の親友、鎮がいた。
「てか、お前ら・・・んーと、誰だっけ」
言いながら、鎮が指をさす。
その方向を見れば、怖いくらい爽やかに笑った昴が。
「早坂昴です。一応生徒会長なんだけど」
おおう・・・見える、見えるぞ・・・昴の顔に「生徒会長の名前ぐらい覚えとけやクソが」と書いてあるのが・・・・・!
まあ確かに昴はよく全校生徒の前に出て喋ったりするから、覚えてるのは当たり前なんだけれど。
「ああ、はいはい。思い出したわ。んで、お前らなんで手繋いでんの?仲良しなの?そうなら俺も繋いじゃうけど」
「はっ!?」
鎮は早口でそう言って、俺の空いてるほうの手に自分の手を重ねた。
どす黒いオーラが・・・反対側からビシビシと・・・!
「おいっ、まも、」
「海斗、」
「え?」
ぎゅ。
指が絡む。
さっきまでの、ただ重なってただけのものとは違って、骨ばった手が、細い指の感触が。
よくわかる繋ぎ方で。
「これで許してあげる」
そんなことを言いながら、聞きながら。
絡まった指に、どちらからともなく力を入れて握った。
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