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海斗side.
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「んで、」
「はい」
「全部話せ」
「・・・・・ウィッス」
昼休み。
少し肌寒い、屋上。
俺は鎮に呼び出され、ここに来ていた。
全部話すとなると昼休みだけじゃ足りないけれど、途中で終わらせたくも無いので、俺はこの後の授業はサボるつもり。
多分、鎮もそうだと思う。
なにかは分からないけれど、鎮にも話したいことがありそうだったから。
「・・・・あのな、」
「おう」
「・・・・・あの・・・・、」
「おう」
話そうと決心はした。
俺と昴のことを、全部全部話そうと。
だけど、いざとなると何も話せない。
もたもたしていると、鎮が柵に寄りかかった。
「言えないなら、俺から話していい?」
あ、やっぱりあったんだ。話したいこと。
そう思いながら、俺は無言で頷く。
「俺、先生と付き合ってんだ」
「・・・・・・・・・ぇ、」
サァ、と風が肌を掠める。
冷たいそれに鳥肌が立った。
「坂口先生と付き合ってんだ」
「さか、ぐち?」
「そ。先生が新担任になってから、しばらくして。詳しくは覚えてないけど」
「・・・・・・・」
「衝撃の事実、Announcement.」
両手を広げ、首を傾げながら言う鎮。
「引いた?」
「・・・・・・・引いてない」
引くわけない。
だって、俺も同じだ。
「・・・・俺、も。
俺も、昴と・・・・付き合ってる」
拳を固くしてそう告げれば、鎮は笑顔のまま目を細めた。
「ふは、やっぱ?」
「・・・・バレてたのか、」
「今日の朝にな。手なんか繋いでたら、さすがの俺でもわかるって」
「・・・だよ、な。良かった」
鎮だけじゃなく、きっと他の奴らにもバレた。
半信半疑な奴もいるだろうが、俺と昴が付き合ってるとわかった奴も大勢いるだろう。
「引いた?」
「引かねーよ、俺もだし」
「・・・驚いた」
「俺も」
「・・・・・・」
「っ・・・・どういう反応したらいいかわかんね、」
「・・・・・うん、」
辛い。
辛い思いを、してきて。
これからも辛い思いをするんだろう。
ああ、でも。
俺らが”同じ”だからこそ、
これからもそういう思いをするんだと思って。
その辛さが、誰よりもわかってるから。
だから、
ああ、
ああ。
その辛さを思ったら、こんなにも涙が出てくる。
親友だから。
俺らは親友だから、親友にそんな思いはしてほしくないと思う。
でも、
でも、捨てられないから。
辛い思い、するしかなくて。
「・・・・はは、」
「・・・なんだよ」
「んや、別に」
笑い合った。
泣きながらも笑い合った。
鎮、
俺とお前は、間違いなく親友だ。
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