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海斗side.
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「えっ、坂口先生って元ヤンなの!?」
「しーっ!声でかいっての」
鎮が口に人差し指を立てて制止する。
授業は5時間目に入ったけれど、俺達はやっぱりサボって話していた。
「一応口止めされてんだから、他には言うなよ?」
「言わないけど・・・俺に言ってよかったのか?」
「海斗は別に。口止めされたら言わないタイプだろ」
「口止めされたこと自体あんま無いんだけど」
はは、と笑いながら、鎮が指で長方形を作り、その間から空を見上げた。
「空青いなぁ」
その言葉に俺も空を見る。
太陽の光が眩しくて、目を細めた。
確かに今日は空が青い。
「本当だ」
「絵描きてー」
「鎮、絵描くの好きだったっけ」
「デッサンだけな。特に背景」
「へぇ。初耳」
「だって最近だし」
鎮が描く絵はどんな絵だろう。
そういえば、俺は鎮が作ったものだとか、そういうのはあまり見たことが無い。
「今度見せて」
「うん、見せる」
空を見る鎮があまりにも真剣だから、俺は喋らずに一緒に空を見ていた。
沈黙。
冷たい風。
心地良い。
「・・・・・・生徒会長のさ、ファンクラブあんの知ってる?」
「昴の?」
「うん」
「知らない」
昴はモテるだろうなとは思っていたけれど、ファンクラブまであったなんて。
知らなかった。
なんか昴すげぇ。
笑えてきたわ。
「ハハハハハハハハハハハハハ」
「なんで笑ってんの。しかも棒読み」
「俺と昴の世界が違う」
「めっちゃ目死んでるし」
鎮が笑い出す。
なんだか面白くなって、俺も笑った。
ゆっくりと開いた目に太陽の光がしみる。
「・・・・・・鎮、」
「ん?」
「俺・・・みんなに、言おうと思う」
「え?」
「俺と昴のこと」
行動だけじゃ表しきれない、昴への気持ち。
「全員に、俺らのことを知ってもらう」
いい。
気持ち悪がられても良い。
遠巻きに見られたって良い。
だって、
だって隣には昴がいる。
いてくれる。
「・・・・・おう」
トン、と。
鎮が背中を軽く押す。
「頑張れ」
うん。
頑張るよ。
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