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海斗side.
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「んっ・・・・ふ、ぁ」
「ん・・・・」
ピチャピチャ、クチュクチュ。
二人の唾液が混ざって、唇を合わせるたびにいやらしいリップ音が鳴る。
時折目を開ければ、涙の痕が残っている昴の顔が至近距離で見えた。
「ん、っ・・・ん、」
ああまた、涙が出そうだ。
絡めた指の先から、
口内を犯し合う舌から、
稀に合う目線から。
この想いが伝わればと思った。
あの後、菊地はあそこから動くことはなかった。
「信じない」
そう言った自分の言葉は、我ながら強いなと思った。
だって、前なら。
きっと信じてた。受け入れそうになってた。
だから、ああ、俺は。
強くなれたんだって。
「・・・・・昴、」
「ッ・・・・ん、うん」
俺を抱き締めたまま泣きじゃくる昴を呼べば、涙を手で拭いながら俺から離れてこう言った。
「帰ろう、か」
右手を握って、笑顔で。
”帰ろう”。
「・・・・うん。帰ろう」
”帰ろう”。
帰ろう。
帰ろう。
俺らの未来に、この言葉があればいい。
そう、心から思った。
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