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狂った王子様
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頭がぼうっとする…
天井を見上げ、額に手の甲を当てる。
何だか体も熱っぽい。
外は、雨みたいだ。ひんやりとした空気が体を撫でる。
「アイリールちゃん」
「…?」
ちらり、と目を向けると、青年が立っていた。誰だっけ…知ってる人なのに、頭が上手く働いてないせいで思い出せない。
「残念だけど君とはさよならすることになりそうだ。もう少しお話したかったんだけどね」
青年はしゃがみこみ、俺の頬をなでる。
「んー…これどうしようかな」
頬から首筋にかけて指先で辿られ、ビクリと震えてしまった。
冷たい手…
俺の首には赤い首輪がかけられていて、頑丈な鎖につながっている。逃げることなんて出来ない。身を包むものはシーツだけだし。
…そもそも、逃げるところもないし。
「まぁ、このままでいいよね。何とかするだろうし」
「…なんとか…?」
「ふふ。良かったね、アイリールちゃん」
「なに…が…」
ああ、声が掠れてる。自分の声じゃないみたいだ。散々酷使したせいで、喉がヒリヒリと痛む。
「君の王子様が来てくれたよ」
遠くが何やら騒がしい。
青年はちらりとドアの方に目線だけ送り、「時間切れだね」と呟くと、耳に口を寄せてきた。
「………シェスによろしく」
そっと優しく囁かれたその言葉は、俺の心臓を跳ねさせた。ドクドクと鳴りやまない。
変だ。
なんで…こんなに、苦しいの。
こんな苦しくて、でも、甘く締め付けるもの、俺は知らない。
その瞬間、遠くで一際大きな轟音が響いた。
青年はいつの間にかいなくなっていた。
代わりに、ギィ…と扉が開く。
扉を開け放して入ってきたのは、長身の青年だった。こんな鬱屈した天気の中でも、青年の髪は金色に輝いていた。
眩しい、と思った。
……あれ、前にも、同じような、こと…
「……見つけた」
真っ赤に染まった青年は、狂った瞳で優しげに微笑んだ。
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