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可愛い恋人①
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もしもこの関係に名前をつけるのなら、何が相応しいんだろうか。
「玩具、は止めてほしいんだけど…」
「じゃあそれは言わないようにする」
「う、うん」
シェスから告白(?)のようなものを受けてから、一夜明けた。起きた瞬間、あれは夢だったのかな、とも思ったけど…そんなことなかった。シェスが「昨日の話の続きなんだけど…って、覚えてるか?」と訪ねてきたことで、不安はいくらか解消された。
話をする中で、徐々に実感が沸いてくる。
シェスは、もう俺のことを離さないって言ってる。どこまで本当なのか分からないし、本当なんてないのかもしれない。
でも、それでも嬉しい。
俺に歩み寄ってくれてるような気がするから。
今の会話もそうだ。
俺が言われたくないことを聞かれた。
だから、まずは「玩具」扱いを止めてほしいって頼んだんだ。
あっさり了承されて、少し驚いた。
「そんな身構えるなよ」
「だって、何か…シェスが優しいから…」
「俺はいつだって優しかっただろ?」
「どの口がそれを…」
疑うような目を向けたけど、本人は素知らぬ顔で話を続ける。
「俺って基本的にアイルの泣き顔が好きなんだ」
「…知ってるけど」
「だからわざと酷いこと言うかも。そのときは我慢しないで泣いていいからな?」
「…………最低」
「そんな俺も好きだろ?」
清々しいほどの笑顔だ。
殴ってもいいかな。
あ、でも、だめ、殴ったら俺の方がダメージ大きそう…肉体的にも精神的にも。
「…そんなシェスが好きだとして、」
「好きだろ?」
この男は、全く。
「…俺たちって、何なんだろう。シェスは玩具扱いしないって言ってくれてる、けど、だったらシェスにとって俺って何?」
「んー…何がいい?」
「俺っていうより…シェスはどう思う?」
「……そうだな…うーん…」
シェスは首をひねって考え込む。
やっぱり俺とシェスの間では、そもそもの「好き」の方向が違う気がする。
しゅんと項垂れていると、頭をぽんぽんと叩かれた。
「『恋人』は?」
「えっ」
「なんでそんなに驚くんだよ」
そして言われた言葉に、ビックリして顔を上げる。
だって、今、何て言った?
「だ、だって、俺の『好き』とは違うかもって…」
「それに関しては『分からない』って言っただろ。お互いが好きって告白して成り立った関係なんだし、いいんじゃないか?『恋人』で」
「そんな簡単に…」
ああ、どうしよう。
すごく、すごく、嬉しい。
「アイルは正直だな」
「何が…、わ!ちょっと!何?!」
じぃっとシェスを見つめていたら、突然押し倒された。
久しぶりにシェスを間近で見上げた気がする。
心臓の音がうるさい。
目を逸らすことができない。
ずっとこのまま、時が止まればいいのにって、そう感じた。
「なぁ、アイル?」
「…?」
シェスが口元で笑みを形作る。
…あれ、なんか、おかしいな。
シェスのこの笑みを見たら、ぞわぞわと背筋に悪寒が走った。
「『恋人』らしいこと、しようか?」
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