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一子の恋3完結~R18腐二次創作弱虫ペダル別話
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終わりには、ならなかった。
三日経つ前に、純太は俺の前に来た。
そしていつもみたいに笑ってくれたのだ。
「男かどうかより、会えないと淋しいかどうかを優先することにした。おまえが好きだ」
抱きしめられ、抱き返すと、あとはもう、ことばはいらなかった。
純太はママチャリを買った。
キャノンデールでは二ケツ出来ないからだ。
キャノンデールで練習し、ママチャリで一緒に帰る夢のような毎日。
純太のうちは共働きで昼間は誰もいない。
俺たちは少しずつ、恋人どうしの関係に進んでいった。
キスはできる。
触れ合うこともできる。
でもそこから先は、どうすればいいのかよくわからない。
ネットであれこれ探して、やっと手ほどきをみつけた。
「同性の、愛しかた、だって」
「何かすごいやダ」
「やめとく?」
「でも純太…したいよね…」
「いくとこまで…いってみたい気はする…」
頑張ってみた。
キスしあって、触れ合って、狭い入り口、二人でちょっとずつ開拓して。
最初は痛いだけだったことに、だんだん中身が伴ってきて、俺たちはついに一つになれた…
どっちが男? ってことになると、やっぱセーラー服着てる以上、俺が受けないと話にならないけど、一子だけつらいのやだからって、たまに純太も受けてくれる。
純太のなかは熱くて狭くて、俺のなんか握り潰されてしまうんじゃないかとか思ったりもするけど、すごく気持ちよくて、頭ぶっ飛びそうになるし、何より大好きな純太と一緒にいられることが、何にも換え難いのだった。
その日も純太のママチャリで、二ケツして帰ろうとする俺らに、いきなりクラクションが浴びせかけられた。
振り向くと、寒咲自転車のワンボックスカーだった。
幹と通にいちゃんが乗ってる。
「二人とも乗って! 青八木家の人たちが、手嶋君に何かする気だよ!」
え?
とりあえず、ママチャリごと乗り込む。
通にいちゃんは主要道路を避け、国道の方へ車を走らせる。
「一子ちゃん。幹が何か失礼なことを言ったようだがどうか許してやってくれ。幹なりに、一生懸命だったんだ」
「わかります」
「あたし悪かったと思ってる。手嶋君に嫉妬してたの。あたしがいちばん一子わかってると思ってたから。でも手嶋君。いま一子めちゃめちゃ幸せそう。だから二人には逃げきって欲しい。できるよね」
幹の言葉を嬉しく聞く。
でも同時に、俺は思い出す。
ばあさまと占い師が、耳が痛くなるほど俺に言っていたあの言葉。
18までは女を生きよ。
男に戻ればながらえることはかなわぬ…
俺は男を明かし、男として純太と愛し合った。
俺は生きながらえられないのかもしれない…
我知らず、俺は純太の手を強く握る。
と、いきなり、純太の携帯が鳴り出した。
表示は純太のお母さんだった。
「もしもし」
『純太! あんたどこにいるの!?』
スピーカーホンかと思うほどの大音量で、純太のお母さんの声が車内を満たした。
『青八木のお嬢さんを帰して差しあげて! お父さんお仕事クビになってしまうわ!』
車内の空気がしんとなる。
俺は涙がこぼれそうだ。
何で青八木の家は、いつも…
純太の手のひらが、俺の手のひらをぎゅっと握った。
携帯に答えず切る。
「俺、覚悟決めたから。一子も…それでいいな」
一生懸命頷く。
俺たちはひとつだ。
チームだ。
愛してる。
純太。
「よっしゃ。そしたら俺たちは、ロミオとジュリエットを守る護衛隊だ」
「お兄ちゃん飛ばして!」
国道をひた走って、ひた走って、あとこのトンネルを抜ければ自由、とおもったまさにその時。
十八輪のトラックが、俺たちの前に飛び出して来て…
あとは何もわからなくなった。
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