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育つ総北~三次創作弱虫ペダル青八木目線、手今
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※ 友人が、峰ヶ山クライムのすぐあとくらいの時期の、純太に恋する今泉、書いたので、それを見守る『純太に恋してない』青八木目線で描いてみました…
走りの形が変わった。
シンクロストレートツインが出来ない。
魂の双子みたいだった俺たちが、別々の生き物になっていく。
寂しいけど、成熟。
成長。
匂い立つように男になっていくおまえが、眩しい。
「何見てるんですか無口先輩」
「純太」
裏門坂を上ってゆく小野田のBMC。
追うように純太のキャノンデール。
だんだん、だんだん引き離されてゆく。
現状の実力差は、いかんともし難い。
けれど、純太は登る。
毎日登る。
そして少しずつ早くなる。
少しずつ。
近隣を回るコース練習から、戻ったばかりの今泉がスコットに乗ったまま、地面に脚を下ろして、俺の横に立つ。
見上げている。
じっと。
ずうっと。
「休憩か」
ひとことすばりで聞くと、答えは、
「いいえ」
だった。
裏門坂を登りきった手嶋に、今泉はタオルを差し出した。
自分のは首に巻いたままだ。
別のを用意してたのか?
妹の方の寒咲~幹とかいう名前だ確か…~が、タオルを振りながら走って来て、
「ごめんなさい。一瞬出遅れちゃいました」
「せっかくだから寒咲のを」
今泉は寒咲からタオルを取り上げ、自分の渡したのと交換する。
「ニ枚汚すなよ。もったいない」
「じゃあ、俺が洗いますよ!」
イラ立ったように水場へ行く今泉が、洗い始める寸前、首のとそれをすばやく入れ替えたのを、俺は見逃さなかった。
俺と純太の髪が異様に長くなってしまったのには、あまりにも悲惨なワケがある。
俺たち二人が一年に、遠く及ばないからだ。
走り。
気迫。
そして運。
そんな俺たちが後輩たちと互格にわたり合って行くためには、未明から夜半まで、死に物狂いで頑張らないと追っつかない。
で、床屋も美容院も行けないで、カミソリで毛先だけそいでたら、今の髪型になった…
にしても今泉、変だ。
何か企んでるんだろうか。
出会った頃に、俺たちはやつのエリートぶりを嫌気して、必要以上につらくあたった。
その仕返しとかされるとか?
まさかな…
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