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大晦日―黒葦―~R18腐二次創作弱虫ペダル黒葦
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大学は俺をクビにしなかった。
途中になってる素粒子実験を、『うちで』仕上げてくれるなら、在不在、どういう来方してくれても構わない。
ピアノ室のある戸建ても用意してある…
「…とさ」
「ユキちゃんピアノ弾けるんだ」
「弾けねーよっ!」
「ならなんでピアノ」
「おめーのためだバカ!」
きょとんっ!
あの顔マジだから始末に負えねえ。
ちょいちょいっと指で顔を招く。
きょとんっの顔のまま上方から下りてくるオトメな顔を、両手で支えてキスする。
唇。
舌先。
攻めていくとオトメの、腰が砕けて俺より低くなった。
「ユキ、ユキ、僕、僕、あんっ」
床でそのままシた。
長身のタクトに蝉みたいに止まって、俺はなめらかなソコをむさぼる。
アレンタウンじゅうのひとに祝福された結婚から二年。
今も俺はコイツに夢中だ。
こうやって、泉田をむさぼったことも…あった…
「おまえは走んなきゃよかったんだよ! おれの応援して、俺にタオル運んでくれて、アクエリとか。あんなやつに取られるくらいなら、ダサコの亀でよかったんだ。泉田、違う、塔一郎! 俺のっ、俺のっ」
「…ユキ…おまえを嫌いにさせないでくれ」
長い時が流れ去り、いま俺は再び人を、新しく男を愛してる。
ふっと笑うとタクトが、見えたみたいに俺に手をのべた。
「タクト」
「大丈夫だよユキちゃん。俺たちもう子供じゃないんだ。僕はユキちゃんが好きだ。僕を闇から引き出してくれた。そしてユキちゃんは、自分の闇も自分で斬った。尊敬してる。僕はこの先ユキちゃんがどう変わっても、変わらないでついてく。約束だ」
あんまり凛々しく言うので萎えてしまったけど、心は倍、たぎってる。
お前ってさ、ほんとに…
「でっ、でもさ、ピアノはどこのかな。スタインウェイ? ベーゼンドルファー? ぼくはダナンダのアップライト以外なら全部好きだから。あ、でもダナンダでもせっかくMITが用意してくれるんだから、僕の専属調律師の佐野さん呼んでムリ言って、でも佐野さんダナンダ? それだけはカンベンって苦い顔するだろうから、佐野さんの好きなお酒、何だっけ、アーリータイムス十二本くらい贈れば『いいよ』ってきっと…何。何ユキちゃん。何ユキちゃん笑ってんの!?」
怒り出したタクトの横で、際限なく俺は笑う。
俺の、俺だけのタクト。
俺がみつけた安住の地…
「行くか。除夜の鐘鳴り出す前に」
「僕、こないだ作った晴れ着で行きたい」
「振袖ッ!?」
「だめなら紋付着るけど七五三の五みたいでやなんだもん」
で、七か三か。
「いいけど五分しか待たねーぞ」
その街で、いちばん大きな社に詣でる。
ニメートル超の身長の振袖娘は行き交う人を一瞬ぎょっとさせるけど、この人物が誰か得心すると、みんな笑顔を向けてくれる。
小さな囁きだけがさわさわ渡る。
葦木場拓斗だピアニストの。
アメリカで結婚式挙げちゃった人でしょう?
でもきれい。
それにかわいい。
帰国中の家がこの辺にあるらしいよ…
俺の大きな天使が行く。
ちえっ、高い方の和草履…
「どしたのユキ」
「おまえそれ六センチの方だろ」
「だってペタンコのかわいくないんだもん」
「ただでさえ身長差…」
「嫌なら脱ぐ」
「脱がなくていいっ。…似合ってるから」
ちょっとだけ言い添えてやると、オトメみたいに朱が差した。
ゴオオン…最初の鐘。
「いくつ鳴るの?」
「六回」
「じゃあ急がなきゃ」
足を早める。
あと百二回あることは、山門のとこまで黙っていよう。
さあ行こう。
俺の天使。
新しい年が待ってる。
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