アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
【光謙】貴方の言葉が以外要らない
-
「好きです」
昼休み。人気のない廊下や響き渡った声
モテたいとか、恋人が欲しいとか、馬鹿馬鹿しい
モテたいのも、恋人が欲しいのも、モテるとか恋人がいるなどというステータスでしかないのだろ
だからモテる相手だって、恋人だって誰もでもいい
でも折角モテるのなら、付き合うのとができるなら、少しでも良い人をって程度なのだろう
「一つの聞いてもええですか?」
「え、うん…」
「なんで俺なん? 俺のどこが好き?」
「えと…財前くんは頭も良いし、運動もできるし…それに…かっこいいし…優しいし…」
またそれか。もうウンザリだ
「馬鹿馬鹿しい…」
「え…」
「頭が良くて、運動できて、かっこよくて、優しいしなんて、そんなん俺やなくても、部長…白石先輩だって、謙也さんだってその条件揃っとるやん
だけど、白石先輩と謙也さんに告白したところで、断られる確率の方が高い。せやったら、一番狙いやすい、俺で妥協したってことろやろ? 」
ついに言ってしまった。この女にこんなこと言ったからといって、どうにかなるものでもないとはわかっている
しかし言わずいにはいられなかった
所詮、誰も中身を見ない
外面良ければ、なんでも良いのだ
優しいなんて後付けに過ぎない
「あとな、優しいとか思い込みやわ。わかったやろ?俺は優しくもなんともない
優しさを求めるなら、白石先輩か謙也さんの方がええんとちゃいます?
告白すれば、もしかしたらOKもらえるかもしれないですし」
ほな、がんばってください
と、財前はその場を立ち去った
後ろから、告白してきた女が泣いてるのが聞こえる
なんやねん。自分ばかり可哀想みたいに泣いて
否定しないあたり、図星だったのだろう
妥協されてるこっちの気持ちはどうなるんだ
馬鹿馬鹿しい。ウザい。もうこれ以上関わらないでくれ
だけど、自分が一番わかっている
所詮八つ当たりにしかすぎないのだ
いくら告白されても、好きな人からじゃなきゃ、なんの意味もない
好きな人から以外の告白なんていらない
今、自分が欲しいのは、あの人の心だけなんだから
でも叶うはずがない。どんなに望んだって
だって俺の好きな人は…
「謙也さん…」
「どないしたん?」
え?と思い振り向くと、そこには謙也が立っていた
「け…謙也さん…どないしたんですか…」
いや、それ今俺が財前に聞いたんやん。と明るい笑顔で返される
「で、今俺の名前呼んでへんかった?」
「は?何言ってますの? 呼んでませんわ」
いつも通り、ポーカーフェースで返してみるが、こんな言い訳通じるわけないのに
「ふーん。せやったらええんだけど」
特に気にしてなさそうな顔でそう返してくる謙也に感謝をしつつ、すごくドキドキしていた
財前は謙也に恋をしていた
もちろん男同士なのだから、この恋が叶うことなんて、皆無に近いだろう
だからこの気持ちはこころの奥に閉まって置くことにした
ずっと…このまま自分だけものに…
「せや、財前…あの…さっき女の子に告白されてたやろ?」
「ええ…まぁ…」
「さっきの子泣いとったけど、何か…あったんか…?」
「え…見とったんですか?」
「あ、いや、偶然な…通りかかってん…でな…偶然聞いてしもうてん…堪忍な…」
「別にええですわ。学校なんやから、誰かに見られのはしゃーないっすわ」
「お…おん…」
なんだこの気まずい空気は
早くここから立ち去りたい
「用事はそれだけですか?だったら俺もう教室戻りますわ。ほな、部活で」
謙也に背中を向けて、ヒラヒラと手を振りながら歩きだした
あーぁ。今日はどうも気分が良くない
今日は部活にも行きたくない気分だ
ここまま授業も受けずに帰ってしまおうか
「財前!!!!」
後ろの方から自分を呼び声が聞こえる
はぁ。とため息一つ付いて、声がした方に振り向く
「なんすか?」
この人に…謙也に名前を呼ばれるのは、どんなときだってうれしいはずなのに、いつも鼻につく態度で返してしまう
そんな自分が嫌になる
「あのな…財前…俺な…財前が好きやねん!!!!」
「え…」
「はっ…し…しもうと…言ってもうた…あーもう…言うつもりなかったのに…き…気持ち悪いよな…堪忍な…でも…俺、財前が好きやねん…あ、えと、後輩とかの意味じゃのーて…恋愛対象…として…」
ポカーンとはこのことを言うのだろう。財前はポカーンした顔をして立ち尽くす
「えと…本当に堪忍な…忘れてもらってもええし…あ、でもあれやな…きっとフってもらった方が、スッキリしそうやな…せやから…」
フって…?
と、目に涙を溜めた、うるうるした目で財前を見つめている
なんなんだこの人は。謙也に言って欲しかった言葉をやっと言ってもらえたと思ったのに…
人の返事も聞かずに、本当は自分だって同じ気持ちなのに…それなのに…
「俺には…俺にはフる選択しかくれへんないのですか?」
「え…やって…」
「やってやない…俺の気持ちは聞いてくれないのですか? どんだけ自分勝手やねん!勝手に告白してきたと思うたら、フってなんて…アホにも程があるやろ!このドアホ!鈍感!間抜け!」
声を荒げて放った言葉を一通り言い終わったあとに、我に帰った
謙也の方を向くと、次は謙也がポカーンとした顔で財前を見つめている
「えっと…財前…?それって…どういう…」
「あー、もうめんどくさっ。つまり」
こーゆーことっすわ
財前が謙也の首の後ろに腕を回し、軽く触れるだけのキスをした
「え、ちょ、ざ…ざ…ざ…ざ財前?!?!?!」
「謙也さん鈍いし鈍感やから、一回言葉で言っただけじゃ、わかってくれへんし、面倒なんやもん」
ややった?
少し甘えた声で、10cmある身長差を利用し、上目遣いで問いかける
「やなわけないやろ…ていうか、やばい…財前可愛すぎる…ズルいわ…」
「謙也さんが鈍いのがいけないんですわ
で、もう一度聞きますけど、俺にはフル選択肢しかくれへんのですか?
せやったら、俺はフリますけど?」
悪戯に笑いながら、謙也に問いかける
まぁ、フル気なんて全く無いのだけれど
「フルという選択肢は、もう与えないで! 財前に残されてる選択肢は、俺にすきと言う選択肢だけや!」
「なんやそれ。ホンマ自分勝手ですね」
思わず笑ってしまった。ほんと、自分勝手な人だ。でもそれすらも愛おしい自分は、多分相当重症だ
謙也さん。俺もすきっすわ
あんなにウンザリしていた「すき」って言葉も、今では悪くないと思う
それどころか、もっと聞きたい
但し、すきな人…謙也に限る
もう一生、この人以外の「すき」と言う言葉はいらないし、言うつもりもない
なんて本気で思ってる
ホンマ謙也さんに惚れすぎやろ、俺。アホらしい
でもまぁ、アホな謙也さんに惚れとるんやから、否定できひんけど
ホンマだいすきっすわ、謙也さん
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 1