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「 失礼するよ。 」
凪に聞いたところできっと何も答えてくれないだろう。それならばと恭司は常務室に足を運んだ。
恐らく凪にあんな顔をさせる原因を作ったのは雅臣だろうと踏んだからだ。
「 ノックぐらいしたら?」
静かに怒りを湛えた恭司に少々驚いたが、そんな事は敢えて見せず平静を装い雅臣は言う。
「 槇野くん、雅臣と話があるから君は下がりなさい。電話は繋がなくていい。それから此処へは誰も通さないように。いいね。」
いつもの柔らかい物腰を全く感じさせない恭司のその物言いに槇野はたじろぎ驚いたが、直ぐ様畏まりました、その様に致しますと退室した。
「 で? 話しってなに?」
ソファーの背もたれに両腕を広げ、雅臣はやれやれと不遜な態度で足を組む。その姿を一瞥し、向かいのソファーに優雅に腰掛けた恭司も綺麗に足を組んで雅臣に言う。
「 何だと思う? 当ててごらん?」
まるで挑発するかの様な冷笑。恭司がこの顔をするときは大抵怒っている時だと知っている。
「......当ててごらんねぇ。遊びに来たんじゃないんだろ? 俺も今はめちゃくちゃ忙しい。」
ニヤリと笑って恭司が聞かんとする事を解っていながら雅臣はわざと答えない。
そうか、ならおまえの為にヒントを上げよう。と恭司はにっこりするが、あの笑みは偽物だ。
「私は忠告しておいた筈だ。どうだい、解ったかな?」
「さっぱり解かんねぇなぁ。」
答えを促そうとしたが、ニヤニヤとそう答えられ、やはり原因は雅臣で間違いないだろうと恭司は雅臣の腹を探る。その間お互い冷笑で見つめあい沈黙が流れたが、これでは埒が明かないと恭司が口火を切る。
「時間の無駄だな、遊びはおしまいにしよう。」
そう言いながらソファーの背凭れに背中を預け今度はハッキリと言う。
「凪くんの事だ。」
強い視線を受けながら雅臣はふっと鼻で笑い、
ローテーブルに置かれてある翡翠のシガレット入れから煙草を取り出して吸い始めた。
「凪ねぇ~」と呟き、先程の凪を思い出し、苦笑しながら煙りをわざと恭司に向かって吐き出すと不遜な態度で笑う。
「 兄貴に何か関係ある?それとも、可愛い、可愛い秘書の事は一から十まで全部知っておきたいってか?ハッ、笑わせんなよ。」
無礼な態度と言葉で雅臣は恭司を煽るが、そんなものに恭司は引っ掛からない。
元来恭司は思慮深く、聡明で貴公子宛らと振る舞ってはいるが底知れぬ野心も持ち合わせている。
そんな恭司が雅臣の安っぽい挑発に乗るわけが無い。
「 雅臣、おまえの考えは見え見えだ。私を煽るならもっと考えて上手くやれ。同じ土俵に立ちたいのならな。」
兄の威厳か、余裕綽々で諭されれば面白くない。チッと舌打ちをしたが、次の瞬間には雅臣はまたにやりと笑った。
「 如何にも自分が優勢ですみたいな顔しやがって。甘っちょろいお兄様に、一つ良い事教えてやるよ。」
そう言われまだ煽る気かと恭司は内心やれやれと思っていた。
「 凪は耳が弱ぇ。いい声で啼くぜ? 嘘か本当か、悔しかったら試してみ。」
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