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翌朝、凪は槇野に言われた通り、昨日より早めに出社し、エレベーターホールでその到着を待つ。
「よお、凪! 早ぇな!」
「......オハヨウゴザイマス。雅臣常務」
白い目で見やり、適当な挨拶をする。朝イチで会うのが雅臣なんてツイてない。
「まーだ怒ってんのかよ。昨日は悪かったって!なっ、機嫌直してくれよ、この通り!!」
拝むような仕草で謝る雅臣をエレベーターホールにいる一般社員逹がギョッとした顔で見ているが、知ったこっちゃない。自分で撒いた種といえばそうだが、凪は怒り心頭だ。
シカトだ、シカト。関わると碌な事にならない。
そう無視を決め込んでいると、ポーンとエレベーターが到着した。どうぞ、と扉を押さえ雅臣が乗り込んでから自分も乗り込む。
「ここ、乗る度におまえの色っぺぇ顔思い出してムラムラしちまう。参ったな。」
とアホな事を言う雅臣を睨み、
「 .........変態。 」
と一言告げる。
「だから、怒んなって!好きなヤツの事考えたら誰だってそーなるだろ。男の性だな!」
......なにが男の性だ!理性で押さえろ!!このケダモノめっ!!
心の中では盛大に罵るも完全無視を決め込んでいると雅臣に頬を撫でられビクッ!っとする。
「つれねぇなぁ...。無視決め込んでっと、キスするぞ。」
「......い!?わ、分かったからやめて下さい!」
ここは逃げ場がない。昨日の二の舞いはゴメンだと盛大に慌てたら、
「普通にしてくれよ。おまえに無視されっと、正直キツい。」
そう言われ仰ぎ見た雅臣の顔は苦笑いしてるけど思いの外悲しげだった。
「ごめんなさい、...俺、」
その後なんて言えば良いか分からず俯く。
雅臣は自分を好きだと言った。もし自分が恭司に今の自分と同じ態度をとられたらと思うと、雅臣に取った態度が酷く独り善がりに思えて心が痛んだ。雅臣の気持ちに沿う事は出来ないけれど、その気持ちを汲みたいとは思う。
「だから、そんな顔するなよ。おまえの気持ちは解ってるよ!こればっかりはどうしようもねぇ。でもな、人の心は変わる。おまえがやっぱり俺が良いって言うまで口説くから、安心しろ!」
「.........常務、」
......。いや、安心しろ!じゃねぇよ。前半ちょっといいヤツって思ったのに、口説くってなんだよ。全っ然、安心出来ねぇよ。寧ろ不安しかねぇよ。
ポーンと39階に到着したエレベーターを一緒に降りると、にっと笑った雅臣は凪の頭を撫で、
「そうゆう事だから、覚悟しとけよ!」
と言い残し去って行った。
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