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朝一から重役会議室に呼ばれた恭司は、紙面を見て驚いた。
このタイミングでのゴシップ記事だ、リークしたのは恐らく耀子自身だと考えて間違いないだろう。写真も二人の顔が余りにも綺麗に写っている事から、パパラッチでは無く、耀子自らが撮らせた物だと思う。
あれだけはっきりと言ったにも関わらず、まだ諦めないかと、うんざりしていた。
会議室には恭司の他に、社長の昴、常務の雅臣、顧問の平林、そして滅多に出社してこない、会長で父の征一郎が居た。
「恭司、どういう事なんだ?」
昴に言われて、どうもこうもと恭司は苦笑する。昴に先週末の耀子との事を知られるのは正直言えば避けたかったが、こうなってしまっては仕方がない。
「この写真は、兄さんと一緒に中津川社長に会いに行った日の夜のですよ。...先週、中津川社長に好意が有ると言われて御断りしたので、恐らく腹いせに本人がリークしたのかと」
先週末申し出を断った時から、耀子がこのまま何もせずに引き下がるとは考えていなかった。
マスコミへのリークは逆に好都合だ。一言、そのような事実は御座いませんと否定すれば、あのプライドの高い耀子は諦めざるを得ないだろう。
「お騒がせして申し訳有りません。会見でも何でもして否定し、早急に事態の終息に努めます。」
恭司が言うと征一郎が待てと声を掛けた。
「記者会見はする。だが、事態の終息の為では無く、これを事実として発表しろ。恭司、中津川氏のお嬢さんと結婚してやれ。」
「「 ── !? 」」
その言葉に、恭司だけで無く、雅臣も驚き征一郎に詰め寄る。
「このクソ親父!!何ぶっこいてやがんだ!!相手喜ばせて何の得があんだよ?」
「落ち着け雅臣。良く考えろ、この騒動でうちの株価は急上昇してる。今否定したら下落するだろう、」
昴が雅臣にそう言うと、「別に、元に戻るだけだろうが。」とブツブツ言う雅臣を尻目に、征一郎が話し始めた。
「恭司が結婚をするのを条件に、中津川グループは我社の傘下に下ると中津川氏から打診された。」
自分の知らない所で事が動いている事に恭司は苦虫を噛み潰したような気持ちになる。
「...私に政略結婚をしろと言われるのですか?ならばこの場ではっきりと申し上げますが、御断り致します。私は中津川社長と結婚するつもりはありませんし、他の方でも御断りです。今後、私のプライベートに立ち入らないで頂きたい。例え、親兄弟でもです。」
自分の意志をはっきりと伝えたにも関わらず、征一郎と昴が納得せず、三つ巴の話し合いは数時間に渡り平行線を辿った。
このままでは埒があかないと思い苛々していると、重役会議室に内線が入り、耀子から外線が入っていると伝えられた。電話にでると、直接会って話したいと打診され、人目に付き難い料亭を指定してきた。此方での話が平行線を辿る今、耀子と直接話してこの話に区切りをつけた方が早いだろうと、恭司は耀子の申し出を受ける事にした。
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