アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
124
-
久しぶりに朝を共にした日から一ヶ月弱。
あの日恭司に、所用が有るから先に会社へ出社するよう言われた凪はそれに従って先に行き、恭司が出社してきたのは昼を少し回った頃だった。
あの日からまた恭司はペントハウスには来なくなった。それを淋しいとは思うけど、あの日恭司が言ってくれた、
【必ず帰って来るから待っていて欲しい】
という言葉のお陰か、不思議と不安は無かった。
毎日会社で会い、それでも会社に居る間は色事を出すことは互いに無い。
でもふとした瞬間、手が触れたり、目があったりした時、口に出さなくても恭司のその目が愛していると語っていたし、それを受けて俺も同じ様に目だけで愛してると返していた。
今日も、いつも通りペントハウスから凪が一人で出社すると、会社の前に報道陣が詰め掛けていてギョッとした。
人混みをかき分けて社内に入り秘書室に行くと、恭司と耀子の交際を知ってからすっかり意気消沈だった槇野がご機嫌な様子で「お早う御座います。」と挨拶をしてきた。
「...お早う御座います。...何の騒ぎですか?」
槇野の様子を訝しく思いながらも疑問をぶつけたら、「あら、ご存知ないの?」と週刊誌を出してきた。
「昨日発売になった週刊誌に掲載されてたんです。どうぞ。」
槇野に週刊誌を手渡され、はて?と思いながら開くと、そこには耀子のゴシップが事細かく掲載されている。
「 っ!? 」
凪はその見出しに盛大に驚いた。
≪ 高嶺恭司氏、中津川耀子氏と破局!!中津川氏の驚くべき饗宴乱舞に酒池肉林!! ≫
破局......、
そこには耀子と関係がある数多の男性の名が上げられており、中には名の知れた政治家や著名人もいる。恭司の様に、脅されて関係を迫られたとコメントしている人もいた。それから、耀子がそこに書かれている人達と一緒にホテルに入る様子や、車内でキスをする所など、複数の写真が掲載されていた。
......恭司さん、
破局の文字を見て居ても立ってもいられなくなり、槇野に週刊誌を返すと足早に専務室に急いだ。
「 専務っ!!いらっしゃいますか!?」
ノックも忘れ扉を勢いよく開けて中に入ると、恭司が専務室の更に奥の扉からネクタイを絞めながら出てきた。
そこにはホテル宛らのベッドルームが有り、以前重役室全ての部屋にベッドが有り、仕事が立て込んだ時などに泊まったり休める様に備え付けられていて、決して雅臣の様にハレンチな事をした事は無いと恭司は言っていた。
恭司さん、ここに泊まったの?
「 おはよう。凪くん。」
にっこりと爽やかな顔で朝の挨拶をする恭司に凪は暫し見入るも、ハッとして聞く。
「 あっ、...お早う御座います。...あの、週刊誌...」
「 終わったよ、凪。全部終わったんだ。」
笑みを深め、終わったと言う恭司の言葉に、凪の目に涙が溜まっていく。
「.....ほんと、に...?」
凪の問いに恭司は、「ああ。」と短く答え続ける。
「待たせてすまない。ただいま、凪。」
「...っ、...お帰りなさいっ、恭司さん。」
どちらとも無く近づき、ここが会社だという事も忘れて久しぶりのキスを交わした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
124 / 160