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おまけ 1
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2月に入り総決算を控えた今、凪のいる重役秘書室もピリピリとした空気が漂っている。
四半期ごとの決算書に基づき書類を作成しているが、何せ初めての総決算。凪は軽くパニックだ。
会計監査の日に間に合う様に経理に全ての書類を提出しなければならない。パソコンにかじりつき、ここのところ毎日終電で帰ってる。
端から優秀な牧野と橘は然程苦にはしていない様で、橘は時々手を貸してくれている。まさに女神!有り難や!と心の中で拝み、通常業務と平行して決算書類を纏めていたら、スッとデスクの脇に台車が置かれた。
「......何でしょう、これは?」
大きな段ボール箱が4箱積んである台車を一瞥してから牧野に聞く。事務用品を頼んだ覚えがあるが、それにしては箱がでっかすぎる。
訝しげに見てる凪に、牧野は端的に言った。
「チョコレートです。」
ああ、丁度脳に糖分送りたいなって思ってたんだよね。
「...って、これ全部っ!?」
「...いちいちお声が大きいです。全てチョコレートです。バレンタインですので。こちらはまだ一部で、後からまだまだ参ります。女性職員の殆どがお渡しになりますから」
...へぇ、男の重役秘書って初って言ってたもん
なぁ。てへっ!モッテモテじゃん俺!
「恭司専務ともなると。」
って俺じゃ無いんかいっ!!!
完全にぬか喜びになるも、チョコレートの入った段ボールを見つめ気分は複雑だ。この中に一体、どれ程の本命チョコが入ってるんだろう。
いかん、いかん!笑顔だ笑顔!恭司さんがモッテモテなのは端から分かってた事じゃないか!
落ち込みそうな気持ちを引き上げる。耀子との
一件から、凪は恭司に言い寄る女性を見ると少々ナーバスになる。これではいけないと何度も自分自身に言い聞かせているのだが、なかなか。
「分かりました。じゃあこれ、専務にお届けしてきますね?」
さらっと言って顔を上げると、牧野が微笑を浮かべてる。
.........えーと?.....なんでしょうその顔。
ちっげーよっ!!と牧野の顔に書いてある。
目をパチクリしながら見つめると、更に笑みを深めた牧野が口を開いた。
「専務にお渡しするだけでしたらわざわざ相原さんの所に運んで参りません。この箱の中身の安全確認をした上で、部署と名前入りのリストを作成して頂きます。」
.........え、このくっそ忙しい時に?
凪は既に手一杯だ。通常業務でさえ恭司に甘えて手伝って貰ってる。そこに来てチョコレートの為だけにリスト作成などという何とも言えないくっそ面倒臭い仕事を割り振られても正直やりたくない。というかやれる時間はない。
しかし、恭司宛てとなると凪の仕事となるし、流石にこれを持って行って泣きつく訳にはいかない。
...これ恭司さん宛てだよ。安全かどうか確かめてリストにして?なんて言ったらアホ丸出しだもんな。
自分でやるしかないとは思うも、デスクの上は書類とファイルの山だ。チョコレートを広げるスペースなどどこにも有りはしない。
「...えっと、決算書類の作成が済んでからでも宜しいんでしょうか、」
「生物ですから」
「......ですよね」
だあぁぁぁぁっ!!絶対に帰れないっ!!
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