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おまけ 2
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「......失礼致します。」
専務室の重厚な扉を開ける。毎日何度となく開けてる扉がいつにも増して重い気がする。
「やっと顔を見せに来たね。」
柔和な笑みで見つめる恭司の言葉に、そう言えばそうだなと思う。朝、家を出たきり会っておらず、凪はずっと秘書室に缶詰だった。
「...すみません。決算書類、全然上がりそうもなくて」
「ここでやったら良いのに」
専務室にも凪のデスクがある。普段は通常業務の殆どを専務室でおこなっている。恭司と居たいからと言うわけではなく、大奥と化してる重役秘書室の、正確に言えば槇野のプレッシャーに堪えかねての事だ。しかし、恭司と居るとドキドキしてしまう上、つい目が恭司を追ってしまう。決算書類ともなると、重要性も高く況してや時間も無い。ここでやるより、圧力を受けながらやる方が効率的だと判断して秘書室で行う事を決めていた。
「...書類の量も多いですし、分からない事も沢山あるので秘書室でやります」
「そう。...凪くんが居ないと寂しいよ」
そげな眼で見られたら心の臓が持たぬわい!
忙しさの余り気が触れているが、凪も好き好んで大奥に居るわけではない。
惹き付けられた様に見つめたまま立ち尽くしていると、透かさず恭司は凪の側に寄り、甘い顔で囁く。
「手伝うから持っておいで」
天使の囁きか、はたまた悪魔の囁きか、恭司の唇ばかり見てしまう。
「...キス、したいな、」
ポツリと呟いてハッとする。
だあぁぁぁぁっ!!業務中に何考えてんだよ俺!!
ハレンチな!!ビッチめっ!!うんこめ!!
壁に頭を打ち付けて自分を戒める凪を恭司は後ろからスッと抱き締めてその奇行を制す。
「こら、可愛い顔に傷でも付いたら大変だ」
ダメだ、やっぱキスしたい、
衝動を抑えきれずに唇を近付けたその時、室内に内線が鳴り響く。その音に凪はビクッとし、楠田枝理子ばりの上ずった声で応答した。
「せ、専務室、相原です」
『牧野です、お疲れ様です。追加のチョコレート届きましたので宜しくお願い致します。秘書室の方、空調きかせておりますのでお早めになさった方が宜しいかと』
「......畏まりました。」
空調切れよ!!寒いならパンツ履けーっ!!
心の中で毒づくも、完全にYesマンだ。
しかも今の内線で仕事が増えた事を知らされた。こうしている場合ではない。
「...秘書室に戻ります。あと、今日は多分帰れないので、先に寝てて下さい」
「...そうなの?凪が居ないと寝られそうもないよ」
....辞表出しちゃおうかな。
帰りたい余りとんでも無いことを考える。しかし、辞表なんぞ出す訳にはいかないので、ここはとっとと仕事を終わらせるしかないと、凪は意気込んだ。
「ダッシュでやってタクシーに乗ってビューンって帰りますから!」
「ふふっ、そうしてくれると嬉しいね。待っているよ。あと、これ仕上がったから持って行きなさい。雅臣に捺印だけ貰っておいで」
うそーん、もう終わったの?
手伝ってくれると言った恭司に甘え、預けていた書類がもう出来上がってると聞いて凪は物凄く驚いている。恭司にはぶっちゃけ秘書など要らないな。と思ったが、お役後免になっては困るので、こうしちゃおれんと凪は書類を受け取り身を翻した。
「有難うございます!絶対に帰りますから!」
「待ちなさい、」
呼び止められて振り返った凪に、恭司は合わせるだけのキスをした。
「忘れ物」
柔和な笑みに凪の頭はプスプスと音を立ててる。
入れたばかりの闘魂は、恭司のキスで不完全燃焼した。
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