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おまけ 7
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灰になっている凪を雅臣は強引にランチへと連れ出した。普段なら断固拒否だが、データが消えた事で頭も真っ白になっている為、引っ張られるままに足を動かしているだけとなっている。
「海老フライ食えよ、海老フライ!あれ食ったら元気になるって!」
疚しい考えから、雅臣は凪に毎度毎度海老フライを薦める。何も答えない凪を見て、雅臣は勝手に海老フライ定食を注文した。
...あー、精神的ダメージが大きすぎる。また一からやり直しだろ?絶対に帰れない...。もう!こうなったらやけ食いだ!!
帰る事を諦めた凪は、雅臣が海老フライ定食を頼んだ事に気付いていたのに、更にスパゲッティアラビアータを注文する。
それを見た雅臣は、海老フライをスルーされたのかと凪に詰め寄った。
「おい、海老フライ頼んだっつーの」
「知ってます。もうやけ食いします!!次、いつ飯にありつけるか分かりませんから!」
鼻息荒く言い切る凪に雅臣は笑う。さっきまで蒼白だったのに、吹っ切れたのか今じゃ腕捲りしてネクタイを胸ポケットに入れている。まさに臨戦態勢を調えた凪の、くるくると変わる表情が男心を擽る。
「どんな顔してても別嬪だな。俺の奢りだ、たらふく食えよ」
「えっ?良いんですか?よーし、んじゃ大盛りに変更っと!ご馳走さまです!」
ヘラっと笑いながらタッチパネルを操作する凪に雅臣はさらっと伝えた。
「好きだぞ、凪」
「んなっ!? 何なんですか唐突に!?」
キョロキョロと慌てて周りを見る凪に雅臣は盛大に笑う。
「あははははっ、やっぱ凪は面白れぇわ!指咥わえて見てるだけは性に合わないんでね。ちっとくらい意識させとこうと思ってな!」
「...指咥わえて見てるだけじゃ無いじゃないですか」
日々セクハラのオンパレードだ。決して見ているだけでは無い。だが、意識をさせるのには成功している。何度と無く好きだと言ってくる雅臣のそれに、完全にどぎまぎしてる。正確にはハラハラしている。
なんと言ってもここは社食だ。重役である雅臣の顔は全ての社員が知っている。それでなくても整った顔立ちで注目を集めているのに、こんな所でいけしゃあしゃあと好きだの何だの言われては困る。
「ははっ、違いねぇ。狙った獲物は必ず仕留めるんで、覚悟しとけよ!」
バカか!!常務に仕留められる前に、あそこら辺の女性に仕留められるわっ!!
社食の一角に座る女性グループが、ずっとこちらを見ている。周りも気にせず大声で話す雅臣の言葉に、凪の死亡率が高くなる。
「致しません」
某ドラマのセリフでお断りするも、おまえの意見は聞いてねぇと不遜な態度で言われた。
「んんーっ!うまそーっ!!いっただっきまーす!」
程無くして海老フライ定食とアラビアータがきて、凪が満面の笑みでフォークとナイフを手にしようとすると、雅臣がスッとナイフを奪う。
ジト目を向けるとニッとされて、ほら食えよ、と丸かじりをご所望だ。もう腹ペコで、無駄な口論をしてたら冷めてしまうと雅臣を無視する事に決め、周りをチラッと一瞥する。
...よし、誰も見てないな。常務の期待を裏切ってやる!ハレンチだけど、この海老フライより恭司さんののが断然大きいもんね!きっといける!ガブリとしてやる!!
ニヤニヤしながら凝視してる雅臣の目を敢えて見つめ、徐に海老フライの先っぽを咥わえる。いけると踏んだ凪は、そのまま歯を立てた。
ザクリと小気味の良い音を立てて切れた海老フライを咀嚼し、どや顔で雅臣を見ると物凄い不満を露にしていて、なんともしてやったりな気分になった。
「おい、その海老フライ噛まずに舐めろ。これは命令だ」
「変態!!そんなハレンチな命令聞けるかど阿呆っ!!
...ハッ!?」
社食内がシーンと静まりかえってハッとする。相手は重役でここは社食。これはマズイと、凪は慌てて取り繕った。
「な、なーんてね。どうです?ビックリしました?」
「別にいつもの事だから普通」
ばーかばーか、空気読めよ!!俺の死亡率が上がるだろ!!...もういい。食べよ。関わると本当ろくな事にならない。
そう決めて凪は黙々と食べ続けた。
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