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おまけ 8
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常夏の秘書室に置いたままにしておいては、確実にチョコレートは溶けると、社食に行く前に常務室に運んでおいた。また運ぶのも何だし、ここでやらせてもらおうと、凪は常務室に籠り必至でリスト作成に励んでいた。
「なぁ凪、腹一杯だし、ちょっと運動しようぜ?丁度ベッドあるし」
...無視だ無視。
そう決めてうんともすんとも返さない。それをつまらなく思った雅臣は凪の後ろに回り込み、耳を食む。
「...あ...ッ、だあぁぁぁぁっ!止めて下さいよ!!」
「色っぺぇな。もう少し聞かせろよ」
抱え込んで離さない雅臣に凪は焦る。
「セクハラですよ!!もう止めろ!」
「だから何度も言ってるだろ?これはセクハラじゃ無くて愛情表現。流されちまえよ」
逃げようにもデスクとイスに挟まれて身動きが取れない。そうこうしてる間にも雅臣の手は脚の付け根や首筋を擦っていて変な気分になってくる。
しかし流される訳にはいかない。
「き、恭司さんに言い付けますよ!!」
慌てて言った言葉に、雅臣が耳元でふっと笑う。
「...へぇ。やってみれば?兄貴の事だ、凪もただじゃすまねぇなぁ」
「う"っ、」
だあぁぁぁぁっ!くっそー!
痛い所を付いてくる。常務に触られまくりましたなどと報告出来る訳がない。しかし何もしなければ、確実に後ろのど阿呆の餌食になると、凪は足と手を突っ張り渾身の力でデスクチェアを後ろに滑らせた。
「わっ!?」
ぐっと掛かった圧に雅臣がすっと避ける。必然的に凪はイスと共に後方に滑り、ガッと衝立の脚に当たってバランスを崩し床に転がった。
それを唖然と見ていた雅臣が腹を抱えて笑いだす。
「おまえなにやってんだよー!シャーってなったぞシャーって!」
「誰のせいだっ!!」
派手に転がり、余りの恥ずかしさに凪は顔を真っ赤にして扉を目指す。体良く雅臣から離れられたし、恥ずかしいのでこのまま常務室から逃げ出そうと考えた。
「おい、どこ行くんだよ?」
「うっさい!おまえの居ないとこならどこでも良いわい!!ばーか!うんこ!」
社会人とは思えない暴言を吐いてべーと舌をだす。怒られないとは思ってはいるがやはり恐いので、早々に常務室を後にした。
あの変態!!ベタベタベタベタとー! ハッ!!
......チョコどうしよ、
大事な事を失念していた。リスト作成に必要な11箱のチョコレートは、全て常務室に運んでしまった。あれが無ければリストの作成は不可能だ。
社内名簿を見て、部署毎に女性職員の名前を片っ端から入力しても大差なさそうだが、そういう訳にはいかないだろう。
牧野さんに頼む?...いや、無理だな。
牧野に頼んだところで、私はやりませんの顔をされて終わりだろう。そしておまけに嫌みの一つも付いてくるに違いない。橘にとも考えたが、雅臣と何の関係も無い橘に頼むのは心苦しい。
刻一刻と過ぎる時間の中、凪は常務室を見つめて立ち尽くしていた。
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