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おまけ 12
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カフェモカ片手にチョコレートと奮闘する凪。
心配に思ってたドキドキ感も、恭司が上司の顔に徹してくれているからか然程感じ取らず、帰宅を目的とし淡々と業務をこなしていく。
就業時刻はとっくに過ぎており、時刻は21時。
先程漸くリストの作成が終了し、今はチョコレートの箱詰め作業に没頭していた。
「目処は付いたのかな?」
微笑んだ恭司に聞かれ、凪は弛く首を振る。
「リストの作成は終わったのですが、これから決算書の方をやらなければなりません。専務、お済みでしたら私の事は気にせず、お帰りになってください」
頭の中が切り替わらない様、殊更に公私混同せずにいるが、そうは言っても心の中では恭司が帰宅してしまっては寂しいなと思っていた。
「そう。ではそうさせて貰うかな」
恭司が立ち上がり帰り支度を始める。やはり寂しいと思う気持ちはあるが、その方が帰宅の為に
一層邁進出来る様な気もする。
支度を終えた恭司をエレベーター前まで見送ろうと立ち上がった凪を、恭司はふわりと包み込んだ。
「余り無理をしては駄目だよ。夕食の支度をして私達の家で待ってる」
私達の家。そんな一言が凄く嬉しい。
「遅くなっちゃうだろうから、飯食べて、先に寝てて下さいね?帰ったら起こすから」
「分かった」
笑いながら言えば、恭司も笑んで返してくれる。どんなに遅くなっても、恭司は凪が帰宅すると何故か起きる。いつも不思議だなと思っている事を揶揄したら、額にキスを落とした恭司が、ここで良いよと見送りを断ってきた。
「じゃあ、ここで。帰り、気をつけて下さいね」
「ありがとう。また後でね」
閉まる扉を見て、一瞬寂しさに囚われそうになりブンブン頭を振る。
「シャアッ!!やっちゃお!ダーってやってダーって帰ろ!!」
凄い気合いを入れて仕事に取りかかる。帰宅したいが為に効率良く進んでいく。それでも書類を見返したり、前年度と比較したりとやることは山積みで、ちっとも目処は立たなかった。
コンコンとノックの音が響き応答すると、牧野が入室してくる。
「失礼致します。リストの作成はお済みですか?」
「あ、出来てます」
差し出したリストをパパっと見た牧野が、分けておいた箱の中を開けて見ている。
予め、既製品で無いものは分けておくようにと言われて、理由も聞かずに従った。
「こちらのもの、週明けに本人に直接お返し下さい」
「...あの、何故ですか?」
唐突に言われた言葉に驚き、疑問を口にすると、牧野はそんな事も分からないのかと言いたげな顔で教えてくれる。
「手作りですと安全性が分かりかねます。ですので毎年既製品のみ承りますと申しているのに、こうして手作りの物が混ざっています。その為にリストの作成と仕分けが必要になります」
...へぇ、成る程ね。
「私たちも毎年この時期は忙しいですし、重役の方々は甘いものを一切召し上がらないので、受け取らないと言う案も出たのですが、それでも構わないからお渡ししたいとおっしゃる方が続出して今の形になりました」
...ふぅーん。恭司さん凄いたまに食べるけどね、甘いもの
【凪、ホットチョコレートのもうか。糖分は身体を温めてくれるんだよ。もう熱も冷めてしまっただろう】
...ダッハァ!!今思い出しても奮死しそう!!
先日情事の後、いつまでも裸でいた凪に恭司が言った言葉を思いだし一人悶える凪に、牧野は冷ややかな視線を送る。
「終電に間に合わなくなりますので、これで失礼致します。そちら、くれぐれも不備の無いようにお願いします」
「...畏まりました」
お花畑から一気に現実へ。もう終電を気にする様な時間なんだと一気に落胆した。
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