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おまけ 15
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よっしゃやるか!!
凪は今、手を出してはいけない分野に再び手をだそうとしている。
昨晩風呂を上がった時点で、王子さまでも魔女でも、例えハレンチ魔神でもどんとこい!と完全に覚悟を決めたのに、食事中に恭司が午前中仕事で家を開けるというのを聞き、流石に今から致したら恭司は徹夜になってしまうだろうと思い、丁重にお断りした。
徹夜でも凪を抱いた方が元気が出るのにと、恭司が不満を洩らすのを聞き、ではではとやる気スイッチを押しそうになったが、そこは男の子。グッと我慢をし、手の甲をペシペシ叩いたら恭司に訝しげな顔をされた。
悶々として眠れないかもと思ったが、連日午前様だった事もあり、ベッドに入ったら秒殺で爆睡だ。目が覚めたら恭司はもう居なくて、寝てる間に行ってくるねとキスをされた気もするが、それすらも定かじゃない。
ちゃんと目が覚めたのが午前10時で、いつもの癖で左手が彷徨う場所に恭司の脱いだパジャマが置かれていて、起きたてから一人で笑った。
ダイニングテーブルに置かれたちょっとボリューミーな朝食を見て、睡眠時間殆んど無かったのに自分の為にわざわざ用意してくれたんだと、胸がキュンキュンするようなズキズキするような不思議な気持ちになり、自分も恭司に何かしようと思った結果、手を出してはいけない分野へのリトライだった。
しかし凪もバカではない。料理の才能が皆無な上、普段から質よりも量を取っているので、味付けのあの字も出来ない。そこで考えたのがチョコレートだ。
バレンタインデーが迫っている今、幸いな事に手作りチョコは他の誰も渡せない、と少し優越感に浸り、溶かして固めるだけならバカでも出来ると、物凄く甘い考えで買い物に出掛ける。
甘いものを滅多に取らない恭司の事を考えて、ビターチョコを大量に購入したのが悲劇の始まりだ。
「溶かしますぅ~、溶かしますぅ~、貴方のハートを溶かしますぅ~。私のハートは溶けてますぅ~♪なんちって!」
凪は今、自作の歌を歌いながら呑気に大量のチョコを鍋で溶かしている。直火で。
湯煎などという高等技術は知る由も無く、方法を間違えているという事には気がつきもしない。
そして何より、かき混ぜてもいない。
よって、鍋の底はえらい事になっているが、勿論知らない。
「おー?溶けてる溶けてる!初めて旨いもん作っちゃうかもーっ!」
ボコボコと煮立っているチョコレートは、既に旨いもんでは無く、苦いものになっていた。
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