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おまけ 16
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「なんじゃこりゃーっ!!」
恒例の松田優作だ。鍋でグラグラと煮立つチョコレートを一匙掬って舐めた途端、故人が降りてきた。
「...ダメだこりゃ。」
いかりや長介だ。もうよもやこの二人は凪が料理に手を出す度、セットで乗り移る。
「...あー、はいはい、知ってましたよぉ。手を出しちゃいけない分野だって。はい終ぅー了ぉー!
...はぁ。」
やさぐれてスプーンをシンクに投げ捨てたものの、期待していただけに落胆の色は大きい。
仕事も家事も完璧にこなす恭司に対して、なんて自分はダメな奴なんだろうと凪は思っていた。
「...恭司さん、俺のどこが良くて一緒にいるんだろ」
欠点の無い恭司の欠点になっている様な気がする。恭司さん見る目無いな、と少し泣きたくなった。
「いかん、いかん。こんな時こそ笑わねば。拙者は男。逸物ついておるではないか!......かたそ」
時代錯誤な言葉でアホな事を言ってみる。あまりに虚しかったので逆に吹っ切れた。
鍋にたっぷり入った、ビターを通り越したチョコレートを眺め、ひょっとしたらと思う。
...もしかして、溶けてるから不味いのかも。固まったら旨くなるんじゃね?だって、溶かしただけだもんな。
溶かしただけでは無く、焦がしている事に凪はまだ気付いていない。ひょっとしたらから、きっとそうに違いないと根拠の無い事を思う。
「なーんだ、だからかー!焦って損した!んじゃ固めよーと。......何で?」
料理を全くしない凪は、バットなどと小洒落た物の存在は知らない。考えあぐねた結果、このまま冷ますという暴挙にでる事にした。
「冷凍庫で固めてー、くるってしてポンッだな!」
そう決めて待つこと2時間、鍋のチョコレートは一向に固まらない。味が変わったか試しにペロッとしてみる。
「苦っ!!......ないなこれ」
欠片も美味くなっていないチョコレートの処分方法を考える。早急にやらねばいつ恭司が帰ってくるか分からない。凪がわちゃわちゃし出した時、エントランスから来客を知らせるチャイムが鳴った。
「.........恭司さんじゃあるまいねぇー。おっ!」
カメラに映る顔を見て、凪は名案を閃いた。
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