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おまけ 22
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「ブランデー飲むの?俺も飲みたい!」
「...お前の為に作るんじゃないよ。」
恭司は凪を潰そうと思っていた。隆雄は言い出したら聞かないし、潰すのにも時間が掛かる。その心の内を知っているだけに無下にも出来ない。その点、凪とはこの先ずっと一緒に居るし、今だけの辛抱だと恭司は自らに言い聞かせた。
もう少し飲ませれば凪の事、コロッと寝てくれるだろう。
折角飲ませるのならチョコレートを使いたいと、恭司は一手間かける事にした。
「オンザロックじゃないの?」
耐熱グラスにお湯を入れ温めたのを見て隆雄が首を捻る。恭司は違うよと一言返すとてきぱきと手を進めていく。
「恭司さん、もういいからキスしてっばぁ〜!」
背を向けた恭司に凪はコアラのごとくしがみつき、不満を露にする。
「美味しいものを作ってあげるからもう少し待ってなさい。」
凪にそう言えば口を尖らせるも恭司の手元を気にしてる。恭司は、温めたグラスに角砂糖を3個入れブランデーをたっぷり加えると、キッチンの照明を落とした。
「凪、危ないから手を出しては駄目だよ?」
そう注意を促し、グラスに火を付けるとそれをかき混ぜた。
「...わぁ〜、綺麗、」
自分の脇からうっとりとブランデーの燃える炎を見つめる凪に恭司の方が我慢を強いられ、苦笑した。
燃やしたブランデーのグラスのふちから2、3センチくらいのところまで熱いコーヒーを注ぎぐと、隆雄は何を作っているのか分かったようだ。
「リューデスハイマーカフェか!恭ちゃん、俺にも作って!」
「ふふ、これは凪だけにしか作らないよ。手間だからね。おまえに作っても私の癒しにはならない。」
再びかき混ぜながらそう言えば隆雄は泣き真似をする。
「差別じゃん!!俺、泣いちゃうよ?俺の顔だって癒されんでしょ!」
隆雄を無視してテキパキと手を進め、コーヒーの表面にバニラエッセンスを加えたホイップクリームをかけると、恭司は凪に向き直った。
「凪と作ったチョコレート少し貰っても良いかい?」
恭司の問いに凪はコクコク頷き、何が出来るのか興味津々に見ている。
恭司は冷やし固めたチョコレートを1つ取り出すと、それをすりおろしてふりかけた。
「はい、どうぞ。手のひらで温めながら飲んでごらん。香り高くなるから。」
グラスを持たせた凪の手の上から掌を重ね、笑んで飲むよう促せば、凪は恭司を真っ直ぐ見つめてグラスに口をつけた。
「んっ!? これすっごく美味しいー!」
ぐびぐびと飲み進めていく凪を見て、隆雄はあーあ。と残念そうな顔をした。
「...これじゃ直ぐに寝ちゃうじゃん。つまんないんですけどー!」
「それなら帰れば良い。その方が好都合だ。」
帰ってくれるに越したことは無い。笑んで言えば隆雄はその気が無い事を示す様に何も言わずにブランデーを抱えてリビングに消えた。
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