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岩ちゃんから離れるとか絶対ないと思ってたし、側にずっといるもんだと思ってた。それも腐れ縁のように。今までみたいに、俺が馬鹿やって、岩ちゃんがそれにチョット過剰だけどツッコんで。
俺と岩ちゃんは、保育園からの仲、ーーー所謂幼馴染という奴で、まるで阿吽の呼吸のように、言葉などなくても、なんとなく"あ、いまここんな事考えてんなぁ"とか分かる。モチロン、好きなものとか嫌いなものもお互い把握している。…筈だった。
岩ちゃんは、新しく入った新入生に随分とご執心らしい。俺には見せたことのない表情でそいつと話している。始めて見た時から、そいつ、ーー影山飛雄はトクベツな人間だとわかった。空気が違ったから。俺は、世間様がいう天才というものがキライ。だって、今までの俺の努力が全て水の泡になるし、虚しいし、…いろいろ理由はあるけど、一番は、岩ちゃんが取られるから。
岩ちゃんは、少し自分にコンプレックス持ってるから、才能のある奴がいると、すぐ目がいく。その度に俺が必死で気を引いて、癪だけど岩ちゃんが少しうっとおしそうにしながらも、口元を綻ばせるのを見るのが嬉しかったりした。選択を誤ったのは、きっと俺なのだろう。
ーーーいま、現在。
岩ちゃんの隣にいるのは影山で、俺はそれをコートの外から見てるだけ。それもそうだ。誰だって、陰で努力する地味な選手よりも、ハイスペックな天才肌の選手を好む。所詮駒は駒。王には勝てないのだ。ぼんやりと、コートを見る。
ーーーもう、潮時なのかもしれない。
視界の端に移る二人をシャットアウトしながら、一人考えこんだ。
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