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7.噂の2人!
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「ー最近、佐山さんと枷なんかあったんですか?」
「俺に聞くなよ俺に」
「いやぁ山野さんだったら佐山さんと同期だし何か知ってるかな、と」
「知らねぇよ、あいつらのことなんか。興味もねぇし」
「あ、佐山さんのこと嫌いなんですか」
「馬鹿、何でそうなるんだよ。俺とあいつは仲が良い」
「そうなんですか。てっきり山野さんも嫌いなのかと」
「もってな、」
「だってあの人嫌われまくってるじゃないですか、俺の友達もあの人のこと嫌ってました」
「可哀想に」
「そう言う割に呑気にキーボード打ってるじゃないですか、やっぱり実は嫌いなんでしょ?」
「お前な…、違うっつってんだろよ」
「だってあの人、ここにいる課の特に後輩たちから大半は、3分の2には嫌われてますよ」
「可哀想に」
「俺も正直あまり好きではありません」
「あ、そう」
「何であの人と山野さんが仲が良いのか分かりません。あの人、口を開けば愚痴か、子どもっぽい言動しかしないし、かと思えば仕事は意外にこなすし」
「良いじゃないか、仕事がデキるんだから見習えよ」
「それだけあっても性格が」
「お前も俺にそういうことコソコソ言ってる時点で大概性格悪いぞ」
「山野さんだからこんなこと言えるんじゃないですか」
「はいはいもう良いから仕事戻れよ。一応仲いんだから、そう言われると俺も良い気しないよ」
「すみません、でもあの人、最近唯一慕われてた枷からさえも慕われなくなってて」
「気のせいじゃないのか」
「気のせいなんかじゃありませんよ」
「何で分かる」
「いつもなら、あの人に尻尾振って寄っていく枷が、約数日前からその行動をパタリと止めました」
「尻尾振ってって、」
「休憩時間とか、お昼休みとか、あの人大抵枷と居たんですよ。最初はあの人に強制的に昼ごはん付き合わされていると思ってたんですが、それはどうも違ったらしくて」
「進んで、だったんだろ?」
「えぇ…それが。俺ビックリしてそのあとおっきなミスして部長にしこたま叱られました」
「それは関係あるのか?」
「まぁとにかく、つい前までピッタリくっついてたと言っても過言ではない2人が離れてるんです、以前の2人を知ってる俺からしてみれば気になるというか、喧嘩でもしたのかなとか」
「そんなのお前枷と同期なんだし聞けばいいだろう」
「聞けませんよそんなこと」
「どうして」
「枷って、近寄らせないオーラあるし」
「そうか?」
「えぇ」
「でもあいつ、確か周りから評判良いとか言われてなかったか」
「それは、仕事と人の良い表面上の接し方でしょ」
「は?」
「枷は、本当に気を許した人にか、内面的なものは見せませんよ。こっちが何か聞こうとしたらいつも笑顔で華麗に交わされるというか、そういう、触れられたくないものに関しては、聞くなってオーラが体から滲み出てるんです」
「そりゃあ知らなかったな」
「だから、今回のことも、聞いてはみたんですが、いえ聞こうとさりげなく近づいたんですが、すぐ先読みされて笑顔で遠ざけられました」
「すごいな、枷」
「警戒心が人より何倍も強いんですよ、だから同期の俺たちとも絡もうとしない。特定の人と関係を持つのを酷く拒んでるんですよ」
「でも、だったら佐山と仲良いのおかしくないか、昼メシ一緒したりしてんだろ?」
「それが俺にも謎なんですよねぇー」
「分からないのか」
「はい、それだけはもうサッパリ。だってほとんどの人から嫌われてるここの課の嫌われ者ですし」
「口を慎め日野」
「すみません、でも事実ですよ」
「潔良いな…お前は」
「ありがとうございます」
「とにかくもう仕事戻れ。部長が来た」
「了解です」
「おう」
……
「…………ふーん。…謎、ねぇ……」
ーー
「佐山、」
「あ?なんだ山野か」
「おう。で、その、最近どうなんだよ、調子とか。元気にしてんのか」
「……いいや全く」
「…そうか、離婚はやっぱりそんなに響くのか…、悪いな、気分悪りぃこと聞いちまって」
「ー当たり前に決まって…っ!!…てそうじゃなくて…」
「え?」
「…そうじゃなくて、離婚じゃなくて、いやそれも大分へこんだけど、今はもうそれとはまた違うことで…大分…落ち込んでる、…というか」
「それとは違うこと?」
「あぁ…、」
「後輩の枷のことか」
「ーーなんっでわかんだよ変態…!!」
「変態ってな…」
「なんだよっ…!、枷に聞きでもしたかよっ!」
「は…?してねぇーよそんなこと何でわざわざ俺が」
「じゃ何で知ってんだよ!!」
「あぁ?んなの後輩が、最近枷とお前何かあったんかなぁとか言うから、ちょっと聞いてみようと思っただけだっつーの」
「…え、」
「俺は全く気づかなかったけど」
「……」
「はぁ…。…で、何かあったわけ?」
「……、…別にそんな、…特には何も…」
「喧嘩か?」
「…んなもの、…するかよ後輩なんかとっ!」
「じゃあ何だよ面倒くせぇ」
「、だ、…だからっ、別に何もないって、何も、」
「目思い切り泳がして何言ってんだか、本当分かり易いよなぁお前33かよ本当にお前」
「う、うるせぇな…!どうせ俺は頭悪ィしもてねぇよ!!」
「阿呆。そんなこと一言も言ってねぇっつーのすぐ悪い方向にばっか勝手に持っていくな面倒い」
「同じようなもんだろこの野郎!皆して俺を馬鹿にしてんだろうが…っ!!知ってんだぞ!うぅっ」
「その年で泣き真似すんなまじキモい」
「ちょっとは乗っかれよ…!」
「そんなんだから、後輩に嫌われ…ーと、いや何でもな…」
「……どうせ俺はお前みたく好かれてねぇよ…」
「…いや、悪い佐山、追い詰めるつもりはなかったんだが本当に」
「っ、そんなこと言って、俺のことお前も馬鹿にしてんだろ……っ!?良い人ぶらなくても別にいいっつーの!」
「はぁ…?…そんなわけないだろお前は…」
「ーいいやそうだな!そうだろ絶対!!同じ年のくせに下から慕われてるし俺より断然大人だし…ッッ!」
「いや、それはお前がガキすぎ…」
「ー俺はな、別に後輩なんていてもいなくても、好かれても嫌われてもどうでもいーんだよ!!どうせ上司として見てくれてないなら、無駄に俺に寄ってくんなっつーの!」
「…は?何の話だ」
「は…っ、さあな。お前も精々気をつけろよ、後輩に食われないようにな」
「……は?食われるって、…なに言って」
「じゃあ俺は仕事戻るからサヨナラ山野さん」
「ーあ、こら佐山!」
「タバコの吸いすぎには気をつけろ、山野」
「……あぁ!?それは丁寧なご忠告をわざわざありがとうな佐山さんよぉ…」
「じゃあな」
ばたん
………。
ポチポチポチ、
プルルルル…プルルルル…
「はいもしもし」
「あ、日野か?」
「何ですか?さっきまで一緒にいたのにまた電話なんかして」
「いや、佐山と枷の離れたその意味が分かって」
「えっ、何なんですか…ッ!?」
「多分佐山、枷に襲われた」
「ー、…………はい?」
「以上だ」
「ーちょ、ちょちょちょちょちょちょーっと待ってくださいよ先輩…!!何ですかそれ全く意味分かりませんどういう意味ですか!?」
「……食われたらしいんだ」
「ぅえええぇえぇえええ…ッッ!?」
「……嫌われ者な上に好かれてた唯一の後輩からそんなことされるなんて……。あぁ…なんて可哀想に…」
「…先輩ちょっと楽しんでませんか?」
「馬鹿、俺はあいつと仲が良いぞ」
「声がなんか心なしかルンルンな気がするんですが」
「馬鹿、俺はあいつと仲が良い。そんなわけないだろう」
「先輩さてはやっぱり佐山さんのこと嫌いですよね」
「あぁ、まぁたまに」
「マジかよ!…あ、すみません」
「嫌いというか、何か時々イラっとするんだ」
「あぁ、分かります。ありますよね、そういうの」
「それでちょっとイラっとしたから後輩に食われたことをお前に告げ口しようと」
「先輩俺よりも佐山さんよりももしかしたら性格悪いんじゃ…」
「何だって?」
「……いえ別に。ただやり方が中学生の女子みたいだなと」
「陰湿だと」
「そうですね」
「ーじゃ、俺は佐山の悪口言ってたお前の暴言を今から佐山に事細かに伝えに行」
「ーーそれだけはやめてください…!!」
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