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28.流されてなんかない!
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「佐山」
「なんだ山野」
「その後、後輩とはどうだ」
「別に」
「別にじゃないだろ。上手くいってんのか」
「何だよ、そんなこと聞いてどうすんだよ」
「一応気にかけてやっている」
「あぁそ」
「不思議だよなぁ。お前のどこにあいつが惚れたのか全く疑問だ」
「お前喧嘩売ってる?」
「だってそうだろ、ガキ上司とかひがみ上司とかクソ上司とか言われてるお前が…」
「ー俺この場で泣いてもいいか!?」
「駄目だ。会社でそんなことしたら一緒にいる俺がすごく悪い上司になる」
「っこの野郎!自分の立場じゃなくて俺をまず慰めろよ!!」
「やだね」
「何だと…っ!!?」
「てゆうか、お前は枷とどうセックスしてるわけ?お前が受けなの?入れる側なの?」
「ーやーめーろーよその質問…ッッ!セクハラだっ!セクハラ上司だ…!」
「何を言ってんだよ俺はそこそこ好かれてるぞ」
「あっそ!!むっっかつく!!」
「で、どっちなわけ?」
「、答えるか馬鹿…!」
「あ〜お前が受けなのか〜」
「ー何で知ってんだよ!」
「え、マジかよ」
「な、嵌めたのかよ!!」
「まじで?男のモノ後ろに入れられんの?うわっ、想像しただけでこえー」
「うるせぇなーもう!!」
「お前は枷のモノ入れられて突かれてあんあん言ってるわけだ」
「お前まじ黙れよ……!?」
「だって実際そうなんだろう〜恥ずかしがる方が逆に引くぜ」
「っんだよ!じゃあ堂々と入れられてますって言やあいいのかよ…!」
「まあ、言われたら言われたでなんつー可哀想な上司…とは思うだろうがな」
「ー可哀想言うなよ!」
「ま、お前は昔っから流されやすい体質の人間だったから、グイグイ来られてここまで来ちまったんだろうな」
「…、そ、それは…、俺はちゃんとあいつのこと、す」
「あー!もういいよ、キモい」
「ー悪かったなキモくて!!」
「お前があいつのことそう思ってるならいいけどさ、丸め込まれてんだったら目覚ませっつー話だ」
「、はぁ…っ?丸め込まれてなんて…」
「始まりは何だったんだ?お前確か、前食われたって言ってたよな?」
「、…や、それは…」
「まさか、レイプにでも遭って、その後付き合うとかいう流れまでいったわけ?」
「、、」
「……お前さぁ、どんだけドMだよ」
「ー違うって!!それは別に違うだろ!!」
「だって、無理矢理されてそれで好きになったようなもんだろう」
「違うって!そうじゃなくて、俺は、あいつの中身だってっ、」
「でも始まりとかキッカケはそれだろ?」
「…、」
「普通に考えて、ありえねーからな言っとくけど。成就するとか普通に考えられないことだからな」
「だって…、そんなこと言ったって、…今はもう」
「そうか、今はもう好きか。単純だなお前は相変わらず」
「、な、何だよ!何が言いたいんだよ!」
「…………お前、ゆずきのこともういいの?」
「…、…は?」
「何の理由も言わずに、離婚届だけ出して勝手に家出てって、男のとこ行って、お前それそのままでいいの?」
「…そのままでって、…だって、もう俺たちは離婚して…、何の関係も…」
「そうじゃなくてさ、お前は何の理由で出て行かれたのかとかさ、そういうの知りたくないのかよって話」
「……。…そんなこと」
「…別に本当どうでもいいならいいけど、俺は正直、お前みたいな何でも相手任せみたいなとこ、あり得ないからさ」
「、なんだよ…それ…」
「だって、お前いっつもそうじゃん?向こうから告白されて、付き合って、それでゆずきと結婚まで至ったわけだろ?お前もゆずきのこと好きって言ってたから、だから俺も良いと思ってたけど、でも離婚届出されて、何の制止の声もお前出さなかったよな、俺のどこが悪かったのかとか、自分のこと追い詰めて、泣いて、でもお前、その割りにゆずきが出て行ったから連れ戻さないととかいうのは、そういうのは一切なかったわけじゃん。それってさ、本当にあいつのことお前ちゃんと好きだったの?本当にお前、あいつのこと想ってた?」
「……」
「…お前は、すぐ流されるから、そういうとこもっと意識した方がいい。あいつの…、枷のことも、…お前本当に好きって思って」
「ーそんなこと言われたって、」
「…は?」
「…そんなこと言われたって、……仕方ねぇじゃん……」
「…」
「……家帰ったら、…もう居なくて、…机の上に離婚届の紙だけ急に置かれてて、……後で電話したら、男のとこにいるって、言うし……」
「…」
「……連れ戻さないと?…戻ってこいよって…?…そんなこと、…俺はできる程、理性なくせられねぇよ……」
「……佐山」
「…お前には分かんねえよ。……結婚もしてなくて、離婚もしてないお前には、何も分かんねえよ…っ」
「……」
「もう関係ない…っどうでもいい、……俺は、…もう枷の手を取ったんだよ……あいつは、俺のこと離さないって、何処にも行かないって…言ってくれたんだよ……」
「……だからって、そう言われたからって、お前は枷のこと受け入れてずっと付き合って、」
「ー当たり前だろ…っ!!?、好きなんだよ!あいつのこと…!好きなんだから、当たり前だろ…!?」
「本当に?」
「ー」
「……」
「…え……?…」
「……お前と枷の仲を引き裂こうとしてるわけじゃないけど、…でも、お前はそうやって、すぐ感情的になって、気持ち高ぶって、そういうこと平気で言うだろ、実際」
「、そんなことな」
「そうなんだよお前は」
「っ…、違う……俺は、…本当に」
「……本気ならいいよ、別に。お前が本当にあいつが好きなら。本当に、そう思うなら」
「…」
「…でも、…よく考えて頭冷やすことも大切って言ってるんだ。一時的なもので、あいつに期待もたして、最後に傷つくのは枷…、それでお前はまた、泣くんだろ?」
「、違うって…!!違うって…!!俺は、一時的なものなんかじゃなくて、俺はあいつが…っ、枷がいないと…っ、俺は、」
「あいつがお前に好きだ好きだって言って来たからだろ?近寄ってきたからだろ?自分から枷の方に歩み寄ったわけじゃないんだろ?」
「それは、そうだけど…っ!」
「お前はな、いっつも受け身なんだよ。ゆずきの時も、枷の時も、いっつもな」
「……ー」
「お前が自分から何かしたことあるわけ?好かれたから好きになって、付き合って?結婚して?それで?お前は何かゆずきにしたわけ?」
「…っるせぇよ!お前に関係ない!!」
「そうやって言い訳ばっかすんな。逃げんなよ。お前のそういうとこ本当変わんねえよな、だからガキなんだ、だからいつまで経っても流されて」
「うるさい!うるさい!!」
「枷のことを思うなら、その頭の中いっぺん整理しろ」
「俺は好きなんだよ…!好きなんだよ!!枷のことが!!」
「そんな頭に血が昇ってる時に言われても、何も響かねえな」
「何だよ…!俺にどうしろっつんだよ!!」
「俺はお前と、枷が心配なだけだ」
「はっ、頼りにる上司面ってやつですか」
「お前がすぐ言い寄られたらホイホイついてくから、それ見てられないんだろ?こっちはお前のせいで苦労してる」
「うっせえよ!!保護者面か!」
「そうやってすぐ話が反れるだろう?だからお前はガキなんだ」
「んだよ…!!どーせ俺はガキだよ!!いーよそれで!」
「良くねぇよ、お前が大人になってくれねえと、俺も安心して結婚なんかできねぇよ」
「俺のせいにすんな…!自分の結婚できないことを俺になすりつけんな!」
「なすりつけてるつもりはねぇけど、実際そうだ。大体お前、俺くらいしか頼れる友達いねぇだろ」
「…っるせぇ!!お前以外にいくらでもいるっての!」
「分かり易い嘘」
「嘘じゃない!」
「強情張るのも良いと思うけど、たまには素直に、正直になれよ」
「俺はいつだって素直だよ…!」
「佐山、お前な」
「うるさいうるさい!!もう何も言うなよ!!」
「……そうやってまた逃げて」
「うるさい!!黙れよ!!」
「…ちっ。あぁそう、じゃあもういい。勝手に流されて掘られてあんあん啼いてろよ」
「ーなんっっだよお前…!!意味わかんねえ!!この馬鹿!セクハラ!お前なんか嫌いだ!!大嫌いだよ!」
「言ってろよ。俺はもう戻るから」
「さっさと戻れよ馬鹿!!俺にもう一々話し掛けんな!!」
「あ〜そ。分かったよ、じゃあもう勝手に好きにしろ」
「言われなくてもそうする…!!」
「後で泣きついても知らねえからな」
「ー誰が泣きつくかよ…!」
「じゃあ、人気者の後輩とお幸せに嫌われ者の上司さん」
「ーー黙れてめぇ!!!」
ーばたん。
…………
「…………っ…………、」
ーーーーあなたのことが好き
「…………、………知るかっ………畜生…………………っ……」
山野の言葉は、想像以上に俺の中に突き刺さり、俺は頭を振って、それから顔を両手で覆って、目の前を真っ暗にさせた。
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