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始まり
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自分が、他人にあまり興味を持てない性質であることは、十分に自覚していた。
幼い頃から、周りの子供たちとは距離を置き、一人で遊ぶのが好きだった。
親は心配したのだろうが、俺は全く気にならなかった。
体も心も育っていく内、うわべだけの 付き合いでもあるほうがいいと気付き、友人という存在を作ることも覚えた。だが、基本的には一人や少人数が好きで、群れるのはどうしても慣れなかった。
アイツ、アキラと出会ったのはそんな群れることに馴染めずにいた、高校二年のことだった。
軽い気持ちで誘いに乗ったカラオケで、次々とメンバーが増えていくことにうんざりし、誰も自分を気にかけていないことをいいことに、こっそり帰ってしまおうか、と考えていたら、急に知らない声が後ろから降ってきた。
「帰りたいなら、帰っちゃえば?」
声に驚いて後ろを振り向くと、他校の制服を着た、見知らぬ顔があった。聞こえなかったかと思ったのか、今度は耳元に寄って、同じ言葉を繰り返した。
「帰りたいなら、帰っちゃえば?」
口調から、場を盛り下げるから帰れと言われているわけではないことはわかったが、何故俺が、帰りたいとわかったのだろう。
自慢ではないが、表面的な人当たりの良さには自信がある。
今この場でも、不満そうにしている様子など全く見せてはいない。帰りたいと気付かれるはずもなかった。
驚きで、目を見開いたまま、顔が近いそいつの顔を見つめていた。
人懐っこい笑みを浮かべているが、整った顔立ちで少しチャラそうな雰囲気は、女にモテそうだ。
「何?オレに一目惚れしちゃった?」
ニヤニヤとからかうように笑うそいつに、思わず口が動いていた。
「違う、モテそうな顔してんなって思っただけ」
「モテるよ~、女にも男にも」
ニヤニヤ笑いをやめないそいつに腹が立ってきて、そいつの言葉を半ば聞き流していた。
「あっそ、じゃ、俺は帰るわ」
一応、誘ってきた奴に帰ると伝え、テーブルの上に千円札を乗せて部屋を出る。チラッとさっきの奴を見ると、あのニヤニヤ顔で、バイバイと手を降ってきたので、無視した。
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