アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
答える
-
「オレさぁ、リョウのこと恋愛的な意味で好きなんだよね」
新居の下見に行こうと誘われ、何もない部屋に入った途端に、急に落とされた爆弾に、頭は真っ白で何も動こうとしない。
「あ、りがと」
なんとか言葉を発した俺に、ぶっと吹き出したアキラは次の瞬間、真剣な、それでいて獲物を狙う雄の顔で、俺に追い討ちをかける。
「多分、一緒に住んじゃうと歯止め効かなくなって、襲っちゃうだろうし、そうなってから拒否されるのはやっぱヘコむし。だから、今、決めて?」
「決めるって何?」
どんどん自分の予期せぬ方向に話が進むのを焦りつつアキラに尋ねる。
「オレを好きになってオレに抱かれるか、オレを拒絶して縁を切るのか」
とんでもない二択を持ちかけられ、またしても頭がフリーズする。
「え、え? 今?すぐ?」
「10分くらいなら待つよ」
10分で決められるか、そんなことっ!と怒鳴る頭も働かず、ぐるぐるとアキラの二択が頭を巡る。
アキラを好きになる?嫌いじゃない、もちろん。だが、恋愛となると話は別だ。ごく常識的な考えしかもっていない俺の頭では、恋愛対象となるのは異性である女の子で、まさかアキラをそんな対象として考えるなんて、夢にも思っていなかった。
ましてや、俺が、抱かれる?アキラを抱くことも想像できないが、俺が抱かれるのも想像できない。
アキラと縁を切る?嫌だ。それははっきり言える。アキラと過ごした日々は、以前の自分を思い出すこともできないくらい大切なものだ。
どうすれば、どうすればいい?
「答えは、決まった?」
静かにアキラの声が響く。仮契約を済ませた俺たちの住む家に。
これって俺がアキラを拒絶したらどうなるんだろ? と、頭の隅で考える。
そう、考えていること自体、答えは出ているようなものだ。
「・・・アキラの思うようには出来ないかもしれないけど、アキラと一緒にいたい。アキラを好きになりたい」
口はカラカラに乾いて、声を出すのが精一杯で、アキラの反応を確かめる余裕もなかった。
「アキラに抱かれたい、は言ってくれないんだぁ」
思わずアキラを見つめると、やっぱりあのニヤニヤ笑いを浮かべていた。
なんでコイツこんなに余裕なんだって少し馬鹿にされた気分だったが、次の瞬間アキラに強く抱き締められ、息も出来なくなる。声すら出せず、なんとか自由になる右手でアキラの体を叩いて止めようとしたら、アキラの腕やら肩やらが小さく震えているのに気づいた。
なんだ、アキラも緊張してたのかって思うと、自然と笑みがこぼれた。アキラを叩こうとしていた手でそっとアキラの体を抱き締める。
俺のその行動に、ますますアキラの抱き締める力が強くなって、苦しさはもちろん、それだけ自分を想っていてくれたのだと、感動すら覚える。
ようやく解放された後には、俺は、もうヘロヘロで、アキラのニヤニヤ笑いは止まらなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 259