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抱き合う
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アキラの傍にふらふらと寄っていく。
世界で、一番、愛しい人が、俺を求めている。俺に赦しを請うている。
ならば、俺は、与えるだけだ。赦すだけだ。
ずっと土下座を続けるアキラを、抱きしめる。
「もう、いいよ、アキラ」
優しく声をかけたかったのに、ずっと泣き続けていたからか、緊張しているのか、固い声になる。
アキラは、顔を上げようとしない。俺の口調が冷たかったから、俺がまだ怒ってると思ってるんだ、と少し強引にアキラの体を引っ張り起こす。
アキラの顔を見た瞬間、思考が止まった。
アキラが泣いている。
静かに静かに涙を流していた。
「・・・オレが悪いんだ。リョウが離れていくんじゃないかって思うと、怖くて誰かにすがらずにはいられなくなる。リョウに愛想尽かされても仕方ねえなって、・・・思うけど、別れたいわけじゃない、別れたくねえ」
ああ、アキラは泣いていても、鼻水が出ていても男前だ。そんなことを思う自分の図太さに内心驚く。
つい、さっきまで狂ったように怒鳴り散らしてたのに。
「アキラ、ホントにもういいよ。アキラの気持ちはわかったから。俺が苦しめてたのもわかったから。だから、許さないとかそんなんじゃなくて、もう、いい」
もうとっくに許している。どんなことをされても、アキラと別れるなんて考えられないんだから。
「でも、もう、こんなことは二度とゴメンだ。俺からアキラと離れるつもりはないんだから、もし次に不安になったとしても、誰のところにも行かないで。俺にすがって。頼むよ・・・」
俺も泣いてて、アキラも泣いてて。二人して涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら、ずっと抱き合っていた。
*****
それからしばらくの間、アキラは俺に依存しているかのように、べったりと引っ付いて離れなかった。
大学では、俺が嫌がるので離れてはくれたが、その反動で家に帰ると片時も離れまいとする。トイレにまで付いてこようとした時には、さすがに声を荒げて怒ったが、他は特に何も文句は言わなかった。
正直、アキラのそんな姿は、俺の密やかな独占欲を満たしてくれていて、嬉しくさえあった。
夜になれば、まるで、子どもがおねだりするかのように体を求められる。
連日ともなると、体の負担は大きかったが、求められる悦びに勝るものはなく、流されたフリをしながらも体を開く。
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