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追い詰められる
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気が付くと、アキラがこちらを心配そうに覗き込んでいた。
手を伸ばそうとするが、疲労が濃すぎるのか、腕を上げる力もなかった。
「アキラ・・・水、飲みたい」
声は出た。かなり掠れてはいたが。
甘えるように言うと、すぐに水を持ってきてくれる。
起き上がれない体をそうっと抱き起こし、口移しで水を飲ませてくれた。
こんなこと、アキラ以外には絶対無理だな、と思うと笑いが込み上げてきた。
いきなり笑いだした俺を不思議そうに見つめているアキラが、なんだか可愛くて、思わず言ってしまう。
「アキラ、愛してるよ」
アキラは驚いた表情のまま固まっていて、俺はその表情に幸せを感じながら、再び眠りについていった。
アキラのその時の気持ちを知りもしないで───。
*****
結局、俺は土日を全てベッドで過ごすことになったが、甲斐甲斐しく俺の世話を焼くアキラの姿に、能天気にもこんなに優しくしてもらえるなら、お仕置きも悪くないな、なんて考えていた。
異変は、すぐに現れる。
あのお仕置きの週末から、急にアキラが距離を置くようになった。
最初は、やり過ぎたと反省しているのかと思っていたが、そうではない様子で、べったりとくっついてこなくなっただけでなく、指1本触れようとしなくなっていた。
二人で過ごす時間も極端に減っていく。
異変はどんどん進み、俺は異変に気づきながらも、何が原因かもわからず、どうしていいかもわからないまま、アキラとの距離がどんどん遠くなっていく。
ようやく、普通の恋人みたいになれたと思っていたのに。
何がいけなかったのだろう。
やっぱり、他の男に口説かれた俺が気持ち悪かったのか?
それとも、俺に飽きたのだろうか?
答えを求めたくても、ここ数日は、顔すら合わせていない。大学でも、上手く逃げられてしまう。
このまま、終わってしまうのだろうか。
あまりに突然の変化に戸惑い、悲しみを感じている余裕もなかったが、明らかに避けられている今の状況を考えると、嫌われたとしか考えられなくて、苦しさに胸を掻きむしりたくなる。
何日、アキラの顔を見ていないんだろう。一目でもいい、あのニヤニヤと笑い、目を細めて俺を見つめてる顔が見たい。
携帯で話したり、メールなどは今までと変わらない。ただ会って話すことはできない。会って抱きしめてもらうことはできない。
アキラの帰ってこない部屋は寒々しくて、いるだけで辛かったが、他に行くところもなく。
食欲もなく、あまりよく眠れない日が続く。次第に追い詰められ、よく吐くようになるまで、一ヶ月もかからなかった。
アキラのいない寂しさを埋めるように、徐々にバイトを増やしていく。バイトで疲れてしまえば、少しは吐かずに食べられたし、夢も見ずに眠ることもできたから。
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