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痛む
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俺の部屋の静寂を破ったのは、突然乗り込んできたアキラだった。
激しい音を立てて開くドアと、続くアキラの見たこともない激しい怒りの表情に、驚きのあまり、声も出ない。
アキラは無言で、俺が横になっていたベッドの上に、俺に跨がるように乗り上がる。
そのまま、いつかのお仕置きの時のように、且つあの時よりも乱暴に両手を縛り上げられた。
恐怖で、体を縮こまらせなんとか逃れようとするが、それがアキラの怒りを誘ったのか、ますます険しい表情のアキラに右頬を平手打ちされる。
瞬間に熱くなる右頬のじんじんとした痛みに耐えながら、アキラを睨み付けた。
こんなこと、許されるわけはない。
どうして、俺がこんな目に合うんだ。
「・・・許さねえよ」
それは俺の台詞だと思いながら、アキラがそもそも何に怒っているのかがわからなかった。
「オレから離れるなんて、許さねえって言ってんだよッ!別れるわけねえだろうが!」
どういうこと、なのだろう。
離れていったのは、アキラなのに。
俺は、離れたくなんかなかったのに。
アキラがあの人を選んだから、仕方のないことなのに。
混乱する頭では、何も考えられなくて、闇雲に逃れようと暴れる。
自由なままの足でベッドを蹴り、アキラの下から逃げようとすると、またしても乾いた音が狭い部屋に響いた。
今度は左頬を叩かれる。平手打ちなだけ、手加減されていたのだろうが、痛みと恐怖で体が震える。
逃げ出そうと足掻く度に、頬を打たれ、それを両手の数ほど繰り返すと、諦めにも似た感情が浮き上がってきた。
もう、どうでもいい。
いつしか、抵抗することを放棄した俺は、アキラのなすがままになっていた。
それからの数時間は、俺にとっては地獄だった。
ただ、アキラの激情を受け入れるだけの行為。愛しさや労りの欠片もなく、俺の体が傷ついてもそれは終わらなかった。
時折、噛みつくように喉元に唇を寄せられる。激しく吸い付かれ、噛まれて、まるで肉食獣に貪られる獲物の気分だった。
激しさを増すアキラの顔からは、飢えた獣の荒々しさと雄の色気があった。こんな時でさえ、そんなアキラにどうしようもなく惹かれる自分がいて、アキラが好きだと感じさせられる。
どうやっても逃げられない、俺からは離れられない。こんなにも、愛してる。
全てを受け入れても尚、収まることのないアキラの怒りは、俺の言葉に向けられる。
何度も何度も繰り返し、『アキラが好きだ』『愛してる』『別れない』と言わされる。
俺の本心であるはずの言葉は、言わされているだけで、何の意味も持たなくなってしまい、虚しさに胸がキリキリと痛んだ。
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