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変わらない
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それから、立ち止まったままの俺を置き去りにして季節は過ぎ、穏やかな春の風が吹き、そして暑い夏も空気を焦がしなが過ぎていった。
秋、アキラが浮気を始めてから一年が経とうとしていた───。
あの時、俺が、アキラに好きだってしがみついて、アキラは黙って受けとめてくれて。
そして、こう、言ってくれた。
『お前がなんと思おうと、オレにはお前だけだ。アイツのことが気になるんだろうけど、お互い納得済みの遊びだぞ?・・・だから、アイツのところになんて行かねえ。オレもお前も帰るとこはここだけだ』
今なら、そんな言葉、と思うのかもしれない。ただ、あの時の混乱しきった頭には、それが何よりの愛の言葉に聴こえていた。
あんな綺麗な人より俺を選んでくれた。お前だけだ、と言ってくれた。
それだけで、狂いそうなくらい幸せだった。
今、同じことを言われても同じように幸せを感じられるだろうか。
俺たちの関係は、もう取り返しのつかないところまで来ている、そう感じているのは、俺だけなのだろうか。
アキラは、何も変わらない。
俺を一人にして、俺以外の誰かと浮気を続けている。それなのに、俺を縛りつけ離そうとはしない。
アキラは、何も変わらないんだ。
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