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終わりの日
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───あの、忌まわしい日のことは
思い出したくない───。
アキラが、家に女を連れ込んだ日から、2週間が過ぎた頃のことだった。
体調も戻った俺は、さすがに家でだらだらしているのは、性格上無理で。
アキラも俺も、家で過ごすことが増えると、食事の回数も増えてくる。
自然と俺も、家事をするようになる。
久しぶりに作る俺の料理を『美味いな、これ』とアキラは喜んでくれた。
そんな僅かな幸せに酔いしれていた、ある日。
バイトのシフトが夕方からで、大学から直行するつもりだった日。
アキラにも、送ってくれなくていいと伝えていたあの日。
たまたま、最後の講義が教授の急用とやらで休講となり、時間をもて余した俺は、一度家に帰ろうと考え、どうせなら買い物もしてしまえば明日が楽だと、スーパーに寄ることにした。
アキラには、休講になって時間があるから、これから買い物をして帰る、とだけメールしておいた。
多分、受講中だし、返事はないだろうけど、ちゃんと報告しておかないとあとが面倒だ、とそれくらいの軽い気持ちだった。
今日の分は要らないから、明日の分、と献立を頭に思い浮かべ、アキラが喜んでくれる姿を想像して、一人微笑んだりして。
幸せな買い物を終え、重い袋を抱えてマンションに着いた時には、そろそろバイトに向かわないといけない時間になっていて、少し慌ててエントランスに入った。
この日の行動を何度、悔やんだことか。一つでも行動がずれていたら、家に帰らずに街でぶらぶら時間を潰していたら、そうしたら、どうなっていたのだろう。
ただ、終わりの日が近いか遠いかの違いだけだったかもしれない。
それでも、もっと苦しまずにすんだのではないだろうか、そう思わずにいられない。
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