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半日ほど経つと、頭痛に制圧されていた頭も少しは余裕がでてきて、冷静に考える能力も戻ってきていた。
その頭で考えても、確実に今の状況は最悪だ。
アキラの浮気現場を確認してしまい、そこから逃げ出すまでは、仕方のないことだと思う。
だが、そのあとサボったバイト先からの連絡も無視して、朝比奈教授を呼びつけ、挙げ句酔っ払って教授の自宅で二日酔いで動けないとか。本当に最悪だ。
しかも、携帯は充電が切れてて、結局いまだにバイト先にも連絡できてないって・・・
自己嫌悪で吐きそうだ。
少しは動けるようになってきたが、教授は仕事に行っていて、鍵がないため帰ってくるまではここを離れられない。そもそも、こんなに迷惑をかけておいて、勝手に帰るなんてできるわけもなかったが。
「アキラ、心配してるかな・・・」
バカな独り言が飛び出した。
あの時、買い物袋をどうしたのかさっぱり思い出せないが、きっとあのまま放置してきたのだろう。
俺が送ったメールと、買い物袋を見れば、アキラには全てがわかっただろう。
もしかすると、全部わかっててしたことかもしれないけど。そんなことあるはずない、とも思う。
こんな状態になってまで、それでもアキラを嫌いにはなれない自分がいる。
それが、深い愛情からなのか、ただの執着心なのかはわからない。
それでも、アキラを嫌いになれない自分が叫ぶのだ。
連絡もなく、いまだに携帯も繋がらない俺を、アキラは、必死で探してる、死ぬほど心配してるはずだ、って
そうだといいなって思う。アキラにとって、まだ俺が必要な存在なら、俺も少しは価値があるのかなって思える。
結局、思考はアキラに落ち着いてしまって、まずは迷惑をかけたことを謝罪して回らなければ、とそちらに気持ちを切り替えた。
バイトはクビかもしれない。昨日の無断欠勤だけじゃなく、以前のアキラに軟禁されていた時のこともある。それは、仕方のないことだろう。それでもちゃんと謝罪はしなければ。
教授には、どうしたらいいのだろう。結局、酔っ払ってほとんど覚えていないが、迷惑をかけたことは間違いない。こういう時って後から、菓子折とか持って来るべきなのかな。
こういうこと、アキラって意外とよく知ってたよな。
また、思考がアキラに戻り、慌てて軌道修正して、そしてまたアキラのことを考える。
そんな無限ループの思考を何度繰り返したのか、辺りが薄暗くなっていた。
玄関が開く音がする。
教授に謝らなければ、と俺は、ベッドから離れ、玄関のほうへ向かう。
「あ、の、おかえりなさい」
声をかけると、教授はひどく驚いた顔をした。
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