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家族
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「俺はアキラが好きだよ。きっと、その気持ちは変わらない。でも、アキラ・・・わかるだろ?もう、俺たちは駄目だよ。元には戻れないし、前にも進まない」
俺の声のトーンに戸惑っているのか、アキラは黙って聞いてくれている。
「だから、別れよう。アキラ。・・終
わらせたいんだ」
もしかしたら、アキラの中では俺たちはとっくに終わってるのかもしれなくて、こんな台詞は意味のないものかもしれない。
それでも、言わなくちゃ、俺がちゃんと終わらせられない。
「・・・やっぱり、他の奴のとこに行くんだな」
「違うよ、アキラ。さっきも言ったろ?俺は、アキラ以外の誰とも寝ることはないよ、無理だよ」
アキラ以外の誰かと肌を触れ合わすなんて、考えただけで吐き気がする。
「なぁ、アキラ。アキラなら、これから先、他の女の子と付き合って、結婚もできるだろ?・・・家族が作れるんだぞ?」
その言葉に、アキラがハッとしたように体を揺らす。
やっぱり、そうだったんだな。なんとなく、アキラが家族に憧れを持っているのは感じていた。
アキラの浮気相手はかなりの割合で女性が多かったし、元々女性を相手にしていたのだろうと容易に想像できた。
つまりは、アキラには、これから先普通に結婚をして家族を作って、という未来があるということ。
アキラ以外とは、無理な俺とは違う。
「俺とは、当たり前だけど結婚はできないし、家族も作れない。そんな関係長く続くはずがないだろ?どうせ、終わるなら、早い方がいい。その方がアキラもいろんな人と出逢えるんだぞ?」
ようやく、俺の言いたいことが伝わったのか、アキラが低い声で唸るのをやめてくれた。
その代わりにひどく冷たい笑みを浮かべていた。
「わかった、お前の言いたいことは」
そのまま、俺を見据える。冷たく感情の読めない瞳だった。
「・・・別れてやるよ・・・その代わり、今から抱かせろ」
そう、言われることも、想定内だった。
それを俺が拒まないことも。
後からどれほど後悔したとしても、俺はアキラを感じたかった。きっと肌を触れ合わすことなんて、もう二度とないだろうから、アキラの肌の心地よさを思う存分に味わいたかった。
アキラから、言われなくても、俺から頼むつもりだった。
・・・それくらい、アキラが欲しかった。・・・最後だったから・・・
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