アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ー 4
-
「……会い……たいよ……………かお……………」
「えっ………」
──"かお"──…?
寝言で呟かれたその言葉に固まる。
うわ言のように何度も、何度も、ただ
『会いたい』と繰り返している。
目の端には涙が浮かんでいた。
伸ばされた手は震え、宙をさまよっている。まるでその先にはいない誰かを求めているみたいだ。
それはきっと、"かおさん"て人……。
「……………」
胸の奥がチリチリと焼けるように熱かった。
昨日から引きずっているグルグルが再び渦を巻き始める。
なぜか目の前のこいつに自分以外の人を求められることが"嫌"だと思った。
眠っていてもなにをしていたとしても、お前の瞳に映るのは俺だけがいいと思った。
例え、俺を通して別の"誰か"を見ているのだとしても──。
心臓が高鳴るにつれて黒いドロドロとした感情が沸き上がってくるのを感じる。
この感情に名前をつけるとしたら──…
それは一体なんと呼ぶんだろう?
「…………しおね………………」
その名前に反応するかのように
ゆっくりと瞼が開かれた──。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 291