アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
素直な気持ち
-
「…ところで
そろそろ手、離して欲しいんだけど……」
「…俺はこのままの方がありがたいんだけど?」
「僕はやだよ。髪も服も土まみれだし、動けないし。
…ぎゅってできない」
「……………」
『ぎゅ』ってなに
今の俺にその言葉のチョイスは破壊力抜群なんだけど
少し躊躇って、押さえつけていた両手をそっと離した。
すると、すり寄るように俺の首に腕を回して抱きついてきた。肩に息がかかってドキドキする。自分からキスまでしたくせに、こんなことで恥ずかしがってるなんてどうかとは思うが…。
「…心臓の音、速い…」
「う、うるせーな…」
「違うよ。僕の」
ほら、と俺の手を引き自身の胸に持っていく。
そこは服の上からでも十分わかるくらい、ドクドクと脈打っていた。
……俺もだっつの…
「…お前さ、誘ってんの?」
「君がそう思うんなら、そうなんじゃない?」
「答えになってねぇ」
「ふはっ」
堪えきれなくなったように噴き出した。
なにが可笑しいんだ、と口を尖らせるとそれを見てまたふふっと笑いをこぼす。
目の端にはうっすらと涙が光ってた。
「……嬉しいんだよ、本当に。これ以上ないくらい幸せなんだ」
「大袈裟過ぎるだろ」
「…違うんだよ。やっと届いたんだ。
君にはわからないだろうね」
そう言ってふわりと笑った。
なんだかその笑顔も痛々しく感じて、胸に当てていた手を離すと潰してしまいそうなくらい強く抱き締めた。
「ちょ…苦しいって」
「…俺さ、多分、すっげー独占欲強えと思うんだわ」
「え……うん…?」
「だから、もう離してやれねーと思う…」
「……………」
「"かおさん"に嫉妬したように、暴走するかもしれない…
それでも、いいのかよ?」
「………なに言ってんだよ、今更」
もぞもぞと腕の中でもがくのを感じてすぐ、顔が近付いてきたと思ったら頬に温かくて柔らかいものがふに、と当たった。
……は……え………?
「それはこっちの台詞だから。
…"せいぜい足掻けよ"」
「…………無理」
やっぱり俺、お前には敵わねぇわ……
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
39 / 291