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「見つけて」
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風に揺られて葉が擦れる音や
波が海岸に押し寄せてくる音
車通りも人気もないから色んな音が耳に入ってくる。
日差しも暖かくて心地いい。
ベンチに横になっていたらうとうとしてきて、そのまま僕は瞼を閉じた。
…おかしいな
今日は割と体調はいい筈なのに、さっきから体が重い
薬だって、ここへ来る途中で飲んだ
それなのに……
ぼんやりと思った。
もしかしたら、このまま痛みもなく眠るように死ぬのだろうか、と
そうしたら僕の体は君が最初に見つけてくれるのだろうか、と
冷たくなっていく僕を、君はどんな思いで見送るのだろう? と
──考えかけて、やめた。
「……僕はまだ…死んで、ない……」
まだ死ねない
最後の一瞬まで、君を信じて待つと決めたから
「…だから、僕を……」
──『僕を見つけて』──
言い終える前に眠りに落ちた。
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