アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
理(ことわり)
-
なんで、なんで、なんで。
せっかく諦めたのに。
離れると決めたのに。
こうして君を巻き込んでしまう前に。
「──かお!!」
心臓の痛みにも構わず、鞭打って起こした体で君を突き飛ばした。
「い"っ…。おい、汐音、汐音ッ!!」
「来んなっ!!」
もう立ち上がれるだけの体力も残ってないくせに、どこからこんなに声が出るんだろう。
自分の体ってこんなに重かったっけ
死ぬのってこんなに怖かったっけ
君や自分の感情を捨て切れるほど、僕は最期まで強くなんてなれなかったんだなぁ…
ごめんね。
今度は『またね』は言わない。
「…はっ、シケた面しやがって。ひどい顔…」
結局、また君にそんな顔をさせてしまった
まったく、情けない
だけど…そうだな もしもまた"次"があるのなら、その時僕はなにを言うかな
『なにか』を叫ぶ君の声が届くより先に
バツンッと意識の糸が切れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
90 / 291