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弟
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「あ、わりぃ…つい…」
やってしまった。
慌てて謝るが、固まった心の表情は確かに引き攣っていて。
「…心…?」
流石の心も怒ったに違いない。
反応を示さない心に、そう、恐る恐る呼び掛けた時。
「…悪い、具合悪いところ引き止めちゃって」
「別に、そんなことは……」
ない。そう言い掛けた時、遠くから心を呼ぶ声が聞こえてきた。
「じゃ、俺も行くわ」
僅かに低くなった声のトーンを、俺は見逃さなかった。
すっと俺に背中を向けた心は、そのまま他の同級生たちの群れの中に入り込んでいく。
…間違いなく、怒っている。
確かに、今のは流石に悪かったな。
反省したところでもう遅い。
それにしても、心は何を言い掛けたのだろうか。
心に触れられた項を撫でながら、俺は深い溜め息を吐く。
お詫びの代わりに心の好きな菓子買って帰ろう。
そんなことをぼんやりと考えながら。
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