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和らぎの時間
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蓮斗は、性欲が強い。
一回二回じゃ満足することができず、結果的に蓮斗が満足するまで相手をしていたらいつの間にかこちらの体が持たなくなっていることが多々ある。
おまけに、場所すら問わない。
人がいなくなったら構わず盛り付き、同じ健全男子校生。確かに性欲旺盛な時期というのはわかるが、それでも蓮斗の場合は異常だった。
異常性欲、まさにその通り。
事後。
裸のまま横ですーすーと眠る蓮斗を感じながら、俺はゆっくりと瞼を持ち上げる。
疲労のあまりに微睡む意識とは別に、慣れない快感の余韻で過敏になった肉体はジレンマを繰り返し、結果、蓮斗に犯された夜は眠れない。
最中は何も考えられなくなるくらい気持ちいい。
しかし、その反動で負担がかかるのも事実で。
ここ最近授業中に居眠りすることが多くなり、よく先生に怒られる。
このままでは遅かれ早かれ成績が落ちるのはわかっていた。
対する蓮斗は絶好調。
これで、いいのではないのか。
少なくとも、蓮斗をちゃんと学校に行かせるという目的は達成してる。
だから、いいんだ。
そう、少なくとも俺は思っていた。
けど、やはり思い込みだけでは疲労感は拭えない。
結局、まともに眠れないまま朝を迎えた俺は眠ったままの蓮斗を置いて渋々床を出た。
一階、リビング。
朝が早い両親の代わりに1つ下の弟の弁当と朝飯を用意する。
とても美味しいと言えたものではないが、なぜか弟は俺の料理が好きなようだ。
蓮斗はコンビニ飯がいいらしいので用意しない。
食欲旺盛な弟のためにぎゅうぎゅうに弁当に具を詰めていると、ふいに背後で人の気配を感じる。
そして、徐に肩を掴まれた俺は硬直した。
思わず箸で掴んでいたミートボールを落とす。
「おはよう、兄ちゃん」
すぐ耳元で聞こえた聞き慣れた声に、俺はその緊張を解きながら振り返った。
そこには、微笑む弟、心の姿があった。
「あ…おはよう、早いな」
「兄ちゃんには勝てなかったけどな」
てっきり蓮斗かと思った俺は少しだけ恥ずかしくなって「はは」と笑いながら小さく俯いたとき、ふと伸びた心の指が頬に触れる。
そして、優しく上を向かされた。
「っ」
「また濃くなってる、目の下の隈。寝不足?」
「あ…あぁ、最近読んでる本が面白くて」
ドクン、ドクン、ドクン。
毎晩心が眠ってる隣の部屋で蓮斗と及んでいる行為を思い出し、正常に戻りかけていた脈は再び乱れ始める。
一瞬の、短くて長い沈黙。
冷や汗が滲む。
心の顔から笑みが消え、僅かにその目が細められたとき。
何事もなかったように心はニコッと笑った。
「ならいいけど、あんま遅くまで本ばっか読んでると体壊すぞ。ちゃんと俺みたいに授業中寝ろよ」
よかった。
バレてない。
変わらない調子で軽口を叩く心に釣られて笑顔になりながら、俺は「ばーか」と言い返した。
「ははっ、じゃあ頂きます」
「ちゃんと噛めよ」
「わかってるって」
言うな否や、椅子につくなりばくばくと朝食に手を付ける心を見つめ、そして俺も席についた。
二階で蓮斗が眠っている間、部活動で朝が早い心と食べる二人きりの朝食、これが唯一俺にとって安らぐ時間だった。
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