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ようこそサーカスへ
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オレンジや青、そして赤や黄色などの色とりどりの電飾が夜を、人々の瞳をキラキラと照らす。
一際大きな濃い紫色のテントの周りには大勢の人々と仮装をしたサーカス団員で賑わっている。
入口に入ると1枚のビラを手渡され、ようこそ!楽しんでいってネとピエロがおどけた。
にこりと笑い返すと、オレンジ色の蝶が描かれた右目をパチンと閉じてウィンクをくれる。
また後でネーと手を振る姿に、どんな演技を見せてくれるのだろうかと期待を煽った。
「楽しみだな、サーカス」
一番前の特等席に着いても瞳を輝かせるエリックの姿に、隣に座る執事もそうですねと頬を緩めるのだった。
「レディース&ジェントルメン。お待たせいたしました!これより蝶の夢サーカス団によるショーをお楽しみいただきます!では、夢の中のように楽しいひと時を皆様に!」
入口にいたピエロが深々とお辞儀をすると同時に、スポットライトが消える。
そして奥の赤い幕が開き、男女の別のピエロが出てきた。
その手にはそれぞれ5本のナイフが握られている。
軽やかにナイフでジャグリングが始まると、わぁと歓声が上がった。
見事なナイフさばきの後ろから、あのオレンジ色の蝶のピエロが大玉に乗り、さらにカラフルなボールでジャグリングをしながら登場する。
パフォーマンスは目まぐるしく、そして派手に変わっていく。
空中ブランコ、猛獣ショー、軟体パフォーマンスに、綱渡り、ナイフ投げと歓声はやまない。
エリックも最前列でその様子を見て、始終目をキラキラと輝かせていた。
「さぁ、いよいよ最後の演目になります。そこで皆様にお願いがあります。どなたかショーをお手伝いしていただけませんでしょうか?」
その問いかけに、おもに子供達の手が上がる。
例に漏れずリチャードも控えめに手を挙げ参加していた。
表情こそ固いが、目は強い輝きを放ち、指名されたいと雄弁に語っていた。
蝶越しの瞳が、会場をぐるりと見回し、客席へと歩み寄り、そしてある一点でぴたりと止まる。
「お坊ちゃん、よろしくお願いします!」
すいっと手を差し出されたのは、エリックだった。
「オ、オレ!?」
驚いてピエロと執事を交互に見る。
「折角ですから、行ってらしてはいかがですか?」
「う、うん!じゃあ、お、お願いしますっ」
「では、お坊ちゃん。お名前は?」
「エリックです!」
興奮気味に返事をするエリックに、ニッコリと笑顔を向けピエロはその手を引いて、ステージ中央に案内する。
そこには、大きな箱がひとつ置かれていた。
無数の細長い穴があいているその箱を、隣に立っていたバレリーナのような格好をした女性が正面のドアを開けて空っぽの中を見せる。
「今からここに私が入り、ドアを閉め、さらに鍵をかけます」
そう言って彼が黒い箱の中に入っていく。
箱の中に入ったあと、バレリーナがドアを閉め、さらにでかい錠前をかけた。
「そして、今からこの箱を剣で刺していただきます!私が無事生還できるよう、皆様祈っていてくださいね」
中からのピエロの言葉に笑いがおこる。
「エリックくんには最後のひと振りを刺してもらいます。あ、優しく刺してねー?」
ピエロのジョークに再び笑いが起こり、興奮と程よい緊張感の中、最後のショーは始まった。
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