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違和感
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呼び鈴にすぐに反応してリチャードが扉を開くと、ベッドに腰掛けている主の頬が濡れている事に眉を寄せた。
「ああ、すまない。今日は少し乱暴にしてしまったんだ」
執事の様子に気づいたブラウンがすまなそうに笑った。
「えっと、言うほどひどいことされてないからな?」
その言葉に補足するようにエリックが告げると、リチャードは苦笑をこぼした。
「この時間をお買いになったのはブラウン様です。何をしようと咎める権利は私にはありません」
「まぁ、そうかもしれないが…君を怒らせた時の怖さを知ってるからね」
「ご冗談を…。それに、この程度ではさすがに怒りませんよ」
エリックを泣かせる客は多い。
それこそ過激なSMプレイを要求する者や肉体的にはもちろん、精神的にも痛めつける者など様々だ。
だが、そんな彼らにすら執事であり調教師でもあるリチャードは怒らない。
それが主の役目なのだから。
その中でいえぱ、ブラウンはかなり優しい客と言える。
毎回軽い愛撫とスタンダードなフェラチオのみだった彼が、今日初めてエリックが泣くような事をしたという事実にリチャードは引っかかったのだ。
執事の気持ちを知ってか知らずか、ブラウンはそうかと笑う。
それに対して軽く会釈した後、主の元へと歩み寄り素早く身なりを整えた。
「では、今日はこれで失礼いたします」
「ああ、また近いうちお願いするよ」
「お待ちしています」
「ではまた、ブラウン様」
にこやかに会釈する主とは逆にリチャードは社交辞令的に口上を述べ、エリックと共に部屋を後にしようとして…その足を止めた。
「リチャード?」
立ち止まった執事を不思議そうに呼ぶ声に、ニコリと笑顔を張り付けて言う。
「申し訳ありませんが、先に馬車に戻っていてください。少しブラウン様とお話がありまして」
リチャードとブラウンの関係が自分より断然長いことを知っているエリックは、分かったと頷いて前を歩いていたメイドと共に去っていった。
その姿を見届けて再び部屋へと入り、ブラウンに向き直る。
その顔から、笑顔は消えていた。
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