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帰ってきた男
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「だ、駄目です…っ!こんなところで…」
「ほんとに嫌がってんの?そんな潤んだ瞳で言われても説得力ねぇよ?」
べろりと赤い舌で細い首筋をなぞれば、メイド服に身を包んだ女が震えた。
首元のボタンを外して、あらわになった豊満な胸元に顔を埋める。
「や、誰かきたら…」
「ああ、いいな、興奮する」
そんなこと、と顔を背けるがその表情はまんざらでもなさそうだ。
片方だけ口の端を上げて笑いながら、今度はひざ下丈のスカートの中に手を入れて太ももを撫で上げる。
ビクッと体を強ばらせるが、その先を期待するように目の前の凶暴な赤い瞳の男を見た。
「すーぐ天国見せてやるから、足開け」
薄い布越しに固い指が当たると、メイドはとろんとし始めた瞳をゆっくり閉じる。
イエスと受け取った男は舌なめずりをし、下着に手を差し入れ──
「休憩室で淫らな行為をするなと何回言えばわかるんでしょうね…?」
「「!?」」
背後から、それもあと数センチで体がくっつくという距離から聞こえた低い声に男と女が同時に驚く。
「リチャード…!邪魔すんなよ。コレからイイとこだろ」
「知った事か。いいからさっさと離れろ」
ぐいっとオレンジ色の髪を引っ掴み、メイドから引き離すとぎゃっと悲鳴が上がった。
「いてててて!!やめろ!ハゲるっ!」
「禿げれば少しはその性欲抑えられるんじゃないか?」
「俺の性欲なめんなよ」
「威張る事か」
言い合う二人に、蚊帳の外だったメイドは素早く身なりを整え、逃げるようにその場を去っていった。
「あーあ…」
「あーあ、じゃない。仮にも執事の服きてるなら態度を改めろとどれだけいえばお前は」
「はーいはいはい。その小言は聞き飽きたっつーの」
べしっと髪を掴んでる手を叩き落としながら、うんざりとした顔を向ける。
リチャードより頭ひとつ大きい男は、近くにあった椅子にどかりと腰を下ろし眼鏡越しの灰色の瞳を見て言った。
「ひっさびさなんだから、おかえりシザー寂しかったぞ位言えねぇの?」
「私に寂しがられて喜ぶ男とは知らなかった」
「カカカ!意外と寂しがり屋なんだぜ?」
にやりとイヤラシイ笑みを浮かべる男──シザーにリチャードは眉間を押さえながら深い溜息を吐いた。
「人前に出る時の姿勢のままなら喜んで出迎えてやるのに」
「なーんもわかってないな。デキる男ってのはオンとオフを使い分けてなんぼだろ」
「お前の場合は落差が激しすぎる」
「そのギャップがいいんだろーが」
カカカと豪快に笑う姿に、呆れたと言わんばかりに肩をすくめた。
「そーだそーだ、お前のあるじ様は元気か?」
「…心配されるまでもない」
「ハ!相変わらずの溺愛っぷりらしいな!安心したぜ」
「…変に絡むなよ?」
「はーいはいはい。分かってますよ」
にっと笑い、椅子から立ち上がると扉へ向かう。
「どこへ行く」
「ん?暇だから屋敷ん中見て回ろうかと、ね」
「旦那様には挨拶に行ったのか?」
「あ、忘れてた」
お前!と小言が始まりそうな声を遮るように扉を閉める。
追いかけて来ないことを知っているシザーは、さぁてと腰に手を当ててにやりと顔を歪めた。
「やるなと言われたらやりたくなるのが人の性(さが)だよなぁ」
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