アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
再会
-
しばらくして、聞きなれないたくさんの足音が聞こえてきた。
金属を奏でる音はだんだんと近づいてきて不安を煽る。
カインもそわそわの背中越しに動いている。
俺は、この部屋ではないことを祈った。
しかし、祈りも虚しく、足音はちょうど俺らの部屋の前で止まる。
重々しい扉が開くと、武装した人が2,3人と部屋に似つかない美しいドレスをまとった女性が現れた。
何より驚いたのがその女性の顔が、自分にそっくりなことであった。
強いて言うなら、違いは瞳の色が赤であることと雰囲気が優しげであること。
カインもそれに驚いたのか、ポカンと口を開けとてつもない阿呆ヅラをしている。
「デーヴァなの?」
その女性は、俺の名前を口にした。
優しげなその声も容姿にも記憶はなかった。
「なんで、知ってるんだ?」
「本当に、貴方がデーヴァなのね...」
女性は涙を流し始める。
訳も分からず狼狽えるも、カインは知らん顔。
それに武装兵も嫌そうな顔をしているだけ。
どうすりゃいいんだよ⁉︎
「えっと.....」
俺が、何かを言い出そうとすると、口にその華奢な指を添えられる。
「いいのです、まだここでは何も言わないで…クリスこの方々を城へ。」
斜め後ろにいた黒服の男が現れる。
細身で身長もそれほど高くないが、人を威圧する迫力があった。
蛇のようなその目に俺はなにも言えなかった。
「御意。」
それを聞くと女性と武装兵は出ていってしまった。
残されたのは、俺とカイン、それと黒服の男だけだった。
黒服は、俺らの前にくると無愛想に来いとだけ言った。
質問をする隙すら与えない男にとりあえず、着いていくことにした。
馬車に揺られながら、無言の時間が過ぎる。
カインすらも喋らないでいた。
気まずい時間が過ぎる。
そして、今までみた建物とスケールも見た目も違う豪華な建物に着くと客間に通された。
中も豪華そのもので、無駄の多い装飾品の数々が並んでいる。
例えばベッド。
上に天井があり、カーテンのついている。
これになんの意味があるのか、俺には到底理解出来そうにない。
その他にも花の入っていない花瓶や人を模した石など。
カインは、興味深そうに見つめていて…
黒服の男が出ていくと、すぐに花瓶に近づき見つめている。
「なあ、これすごくないか⁉︎ただちょんちょん描いているだけなのに、花に見える!」
ほらほらと、カインは興奮し気味であった。
俺は、はぁと大きく息をつく。
自分は、芸術とか全くわからないし、わかろうとも思わないからその凄さが全くわからない。
そして、なんでそれほど興奮するかも…
それより、俺は、俺に似た女性のことで頭がいっぱいになっていた。
どうして、俺の名前を知ってるのだろうか…
どうして似ているのか…
ぐるぐると頭の中を回る。
考えるのもつかの間、突然ヒラヒラした服を着た女たちが入ってきて、仰々しく挨拶をする。
「クリス様のご命令で、あなたがたを風呂へ入れ、着替えさせることになりました。」
そういうとすぐに俺とカインを別々のバスルームへ連れて行く。
そこも、さっきの部屋と同様に無駄なものが散漫していた。
そんなことに気を取られていると、無理矢理服を脱がされかける。
俺は慌てて、抵抗するも虚しく…
「これが仕事ですから。」
そう一喝され、されるがままになってしまった。
もちろん、下着まで脱がされたわけで…
気まずさでジッと眼をつぶり続けた。
そして、服を着せられたと思ったら色々な装飾のくっついた窮屈なもので、俺は眉を顰めた。
首の辺りが苦しい…
女たちは、そこまで終わると俺の今まで着ていたふくを持ってさっさと部屋を出ていってしまった。
どうしよう。
きつい服で途方に暮れているとカインも着替え終わったらしく部屋に戻ってきた。
「ただいまぁ〜。大変な目にあったよ〜。」
カインも同様のことをされたようだが、本人曰く、暴れた末、風呂だけは一人で入らせてもらったらしい…
カインは、俺より少し質素で赤を基調とした服を着ていた。
苦しいのか、少し前のはだけた姿は、妙な色気が漂っていた。
カインは俺の姿をマジマジと見る。
「似合ってるじゃん。すごく綺麗だし」
少し照れる。
カインとは対照的に青を基調とした服でよくわからない紐やら刺繍やらが施してあった。
これが綺麗というのかわからないが、なんとなく嬉しかった。
「別に...というか、どうなってんだよ」
「俺に聞くなって。」
まあ、それもそうか。
「私から説明しましょう」
先ほどの女性がそこに立っていた。
幽霊の如く現れた彼女に驚く。
その女性は、マイペースに振る舞う。
「とりあえず、座りましょうか。」
小さめの机と椅子のあるところへ間招く。
「どうして俺らを連れ出した?」
いきなり、そう切り出した。
気になっていたからだけではない。
彼女が何か知ってるそんな気がしたから。
「そうですね。ソフィアという名前に記憶はありますか?」
かなり前まで記憶を遡っても、そんな名前は浮かんでこなかった。
「その様子だとまだエリスから何も聞いていないようですね」
その名前には、聞き覚えがあった。
俺とカインが慕っていてばぁばと呼んでいた人の名前が確かそうだったと思う。
「ばぁばから聞いてないって、どういうことだ?」
「端的にいうと、私はあなたの母親です。」
突然の告白に耳を疑う。
「今なんて?」
彼女は俯くと途切れそうなほどか細い声で語り出した。
自分の過去のことを。
そして、俺との関係を…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 9