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嫌な予感
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目が覚めると、俺は私服で自分のベッドの上にいた。
いつも通りのベッドと机とクローゼットだけというシンプルな部屋。
あとは、描いた油彩などが置かれているが、割と片付いている俺の部屋。
えっと……
自分の曖昧な記憶を遡る。
確か、部活で油彩描いて…
遅くなって…
急いで片づけてて…
それで、ルイに………
!!!!!!!!?
いやいやいや、あり得ないだろ!
だって、吸血鬼なんて…
あれは、ただの夢だって!
うん、そうだ
たぶん、そう。
「あ、隼人、起きた?」
「ひゃい⁉︎」
思わず変な声をあげる。
ドアの前でお盆を持つルイ。
ルイも私服姿で、お盆の上には丼が乗っていた。
「なんでお前がここにいるの?俺いつの間に帰った?てか、何があったの⁉」
取り乱した俺は、とにかく思いつく質問をルイにぶつける。
が…
ルイの必殺スマイルで軽くスルーされてしまう。
なんだよ、この何も言わせない的は王子様スマイルは⁉︎
女子だったら、失神ものである。
「とにかく、なんともなさそうで良かった。とりあえず、隼人のお母さんに断ってお粥作らせてもらったから食べて?」
ルイは、お粥を1掬いするとフーフーして、俺の顔の前まで運ぶ。
「はい、あーん。」
質素だが、美味しそうな匂いがするお粥にゴクリと唾を飲む。
だけど、なんだこの恋人みたいな状況は⁉︎
絶対おかしい⁉︎
だけど、腹も減っている
どうしよう…どうしよう…
結果…
耐え切れず、ルイの手からお粥のお盆を取り上げ食べはじめた。
ルイは、残念そうな顔をするが、そこは知らんぷり。
ルイのお粥は、男が作ったとは思えないほど繊細な味でとても美味しかった。
少し薄めの塩味に上品な味のだし。
それにご飯も柔らか過ぎず、固すぎずちょうど良いくらい…
しかも、ある程度食べやすい温度にしてくれているときた。
細やかな気遣いに女子かと突っ込みたくなるようなお粥である…
「美味しい…」
自然と口から零れた言葉だった。
その言葉にルイは満足げに微笑む。
「良かった。口にあって。長年、幼馴染してるけど、隼人にお粥作るの初めてだからさ。どうかなと思ったんだけど」
俺は、夢中でそれを食べていると、いつの間にか大きめの丼の中は空になっていた。
「あぁ、美味しかった。ごちそう様。」
「お粗末様でした。じゃあ、俺、下に片付けてくるね。それとおばさんに隼人が起きたこと言ってくるね。」
「そんくらい俺が………⁉︎」
急に立とうとすると激しい目眩が襲った。
へ……?
目の前が暗くなり、身体の力が抜けて体勢を崩しかける。
だが、ルイがすぐに気付いて、俺を抱きとめた。
細身だが、しっかり肉付きのしたルイの胸に顔を埋める。
暖かくて、安心する鼓動が聞こえる。
なんか、安心する…
「言わん凝っちゃない。隼人は、大人しく寝てて、ちゃんと後で質問に答えてあげるから。」
ルイは、軽々と俺をベッドに横にさせると怪しげな笑みを残して部屋を出ていってしまう………
それに俺は嫌な予感しか感じなかった………
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