アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
波乱の体育祭 〜2〜
-
「お疲れ。」
俺は、渡されたジャージをルイに返し、凍ったペットボトルを渡した。
「サンキュ。」
ルイは、俺の隣に座り込み、ペットボトルを額にあてる。
そして、ペットボトルの周りに付いていた水滴がルイの額を伝い、顎から滴り落ちる。
うわぁ、色っぽい……
って、何考えてるんだ俺は!
相手は男だぞ⁉︎
しっかり、せねば…
頭をぶんぶんと振る。
気分を変えようと俺は、話を切り出す。
「ルイ、1位おめでと。ルイは、やっぱすげぇな。」
「でも、隼人はあんまり嬉しそうじゃないね。不服そうな顔…」
ルイは、なんで?ともいうように俺の頬をつまむ。
あまり力は入れてないようで、痛くなかった。
でも、自分が不服だと全然気付いてなかった。
確かに、ルイが1位になっても嬉しくないし、女子の声援には不快感を感じていた。
なんで…?
その答えの出ないまま、午前の最終競技となっていた………
最終競技は『借り人競走』。
まあ、ルールは一般通り。
特に真新しいものはない。
だから、特に難しいものではないだろう。
そう思って、レーンに並ぶ。
前のグループは、『先生』とか『部活の先輩』などというお題で難易度はそれ程ない。
よし、行ける!
そして、高1最後のグループで俺が並ぶ。
とにかく、気を落ち着かせて………
「よーい……」
パァン!
俺は、一目散に紙の置いてあるテーブルへと走る。
重りを退けて、紙を読む。
「はぁ⁉︎」
その内容に驚く。
ちょっとこれはどういうことだよ⁉︎
『好きな人』って、馬鹿なの⁉︎
周りの走者もあたふたしている様子。
とにかく、早く見つけなければ。
最下位でもとったら、サルになんてどやされるさか………
好意を持ってる人間なら誰でもいいんだろ?
それも好きってことだし。
そんなの一人しか思いつかない。
あいつだけ…………
俺は、急いでクラスのところへ走る。
そしてその人影を探す。
いた!
「ルイっ!!」
そう叫ぶとルイは真っ直ぐに俺のところに来て、俺の手を握る。
そして俺は、ルイに引っ張られながらも、ゴールして堂々の1位になったのだった………
クラスのところに戻りながら、ルイは質問してきた。
「なぁ、隼人、さっきのお題って、なんだったの?」
「お、幼馴染………」
「ふーん………」
ルイの疑いの眼差しが痛い。
だけど、言える訳ないじゃないか⁉︎
好きな人で同性選ぶとか…
現に他の人は、皆女子を連れて来ていた。
中にはその場で告白してた奴もいたのに。
「ヒョイっと…」
考え事をしていると、いつの間にかお題の紙が手から消え、ルイの手の中に収まっていた。
「ちょ、ルイ!!」
慌てて取り返そうとしても、この身長差。
もちろん、無理なわけで…
胴をくすぐったり、叩いたりしてもなんの効果もなく。
「へぇ〜。隼人、俺のこと好きなんだ…」
うわぁあぁぁぁぁぁ!!
やめろ!!
鳥肌が立つ!!
「別に、親友として好きなだけだからな!」
俺は、必死になって弁解するが…
「はいはい、そうですか。じゃあ、ご飯食べに行こうか。」
ルイは、適当に俺の言葉を受け流すと、スタスタと両親のいるところへ歩いて行ってしまった。
俺はまた、大変なミスを冒してしまったのかもしれない……………
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
23 / 79